4. 【子どもの人数別】妻は遺族厚生年金をいくらもらえる?
夫が亡くなった場合に、妻はいくら遺族厚生年金を受け取れるのか、子どもの人数ごとにシミュレーションします。
ここでは、遺族厚生年金が仮に「年90万円」だったケースを例に見ていきます。
4.1 子どもがいない場合
子どもがいない場合、妻は遺族基礎年金を受け取れないため、基本的には遺族厚生年金が中心となります。
遺族厚生年金が年90万円の場合、年間の受給額は90万円です。
ただし、夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子どもがいない妻など、一定の要件を満たす場合は中高齢寡婦加算が上乗せされます。
2026年度の中高齢寡婦加算は年63万5500円です。したがって、この条件に該当する場合、遺族厚生年金が年90万円なら合計は年153万5500円となります。
4.2 子どもが1人の場合
子どもが1人いる場合、妻は遺族厚生年金に加えて遺族基礎年金を受け取れます。
2026年度の遺族基礎年金は84万7300円、第1子の加算が24万3800円なので、合計109万1100円が支給されます。
遺族厚生年金が年90万円の場合は、遺族基礎年金と合わせて199万1100円の支給となります。
4.3 子どもが2人の場合
子どもが2人の場合の遺族基礎年金は、基本額が84万7300円で第1子が24万3800円、第2子が24万3800円で、合計は133万4900円です。
遺族厚生年金が年90万円なら、遺族基礎年金との合計は223万4900円です。
子どもが1人の場合と比較すると、第2子の加算額である年24万3800円分だけ、遺族年金の合計額が増えます。
4.4 子どもが3人の場合
子どもが3人の場合は、第1子・第2子にそれぞれ24万3,800円、第3子に8万1300円が加算され、遺族基礎年金は141万6200円となります。
計算)84万7300円+24万3800円+24万3800円+8万1300円=141万6200円
遺族厚生年金が年90万円なら、遺族基礎年金との合計は231万6200円です。
なお、第4子以降についても、1人につき年8万1300円が加算されます。
これらの金額は、あくまでも遺族厚生年金を年90万円と仮定した場合です。実際の遺族厚生年金は夫の加入期間や報酬などによって異なるため、受給額も世帯ごとに変わります。
遺族厚生年金の受給額は、ずっと一定ではなく段階的に減額されることを頭に入れておくことが重要です。
例えば、当初、要件に該当する子どもが3人いる場合でも、子どもが18歳に達する年度の末日を迎えるたびに加算額が減少していきます。そして、末子が高校を卒業すると遺族基礎年金は完全に支給停止となります。
その時点で妻が40歳以上65歳未満であれば中高齢寡婦加算へ切り替わりますが、世帯収入としては一時的に大きく下がることをあらかじめ計画に組み込む必要があります。
現在の夫の年収や厚生年金への加入期間から遺族厚生年金額を試算し、子どもが成長する各ライフステージでの遺族年金受給額をシミュレーションすることをおすすめします。
5. おわりに
遺族厚生年金は、亡くなった夫の厚生年金の報酬や加入期間などをもとに計算されるため、受給額は世帯により異なります。基本的な年金額は、夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
一方、子どもがいる場合は、遺族厚生年金に加えて遺族基礎年金を受け取れる可能性があります。遺族基礎年金は要件を満たした場合、子どもの加算が追加される仕組みです。
つまり、子どもの人数によって遺族厚生年金の額が変わるのではなく、遺族基礎年金の加算額によって変わると理解することが重要です。
実際の受給額を確認するときは、夫のねんきん定期便やねんきんネットなどで加入記録や年金見込額を確認し、遺族厚生年金と遺族基礎年金を分けて考えるとわかりやすいでしょう。
参考資料
木内 菜穂子