4. 世帯の当初所得1000万円以上では、税金と社会保険料で年382万5000円を負担している

所得税だけでなく住民税や社会保険料を含めた負担は、厚生労働省の「令和5年所得再分配調査」(2025年12月23日公表)で世帯単位に確かめられます。調査の対象は令和4年1〜12月の所得です。

4.1 当初所得1425万4000円から、税金223万3000円と社会保険料159万2000円

当初所得が1000万円以上の世帯の平均当初所得は1425万4000円でした。そこから税金223万3000円、社会保険料159万2000円を負担し、年金や医療などの社会保障給付126万6000円を受け取っています。

これらを差し引きした再分配所得は1169万4000円で、当初所得より18.0%少なくなっています。税金と社会保険料を合わせた382万5000円は、当初所得の約27%にあたります。

当初所得の階級別に、1世帯あたりの拠出(税金+社会保険料)と受給(社会保障給付)を比べた2/2

所得再分配調査の当初所得階級別の拠出と受給。総数・500万〜550万円・800万〜850万円・1000万円以上の4区分を比べた棒グラフ

出所:厚生労働省「令和5年所得再分配調査」を参考にLIMO編集部作成

4.2 所得再分配調査の再分配係数は550万〜600万円の世帯からマイナスに転じる

再分配係数は、当初所得に対して再分配所得がどれだけ増えたかを示す割合です。当初所得500万〜550万円の世帯では2.2%のプラスでしたが、550万〜600万円の世帯では1.8%のマイナスに転じています。

1000万円以上の世帯では18.0%のマイナスで、受け取る社会保障給付より、税金と社会保険料で出ていくお金のほうが大きくなっています。

4.3 所得再分配調査の当初所得は世帯の合計で、個人の年収とは違う

この調査の当初所得は、世帯全員の雇用者所得や事業所得、財産所得、企業年金などの私的給付を合計したものです。1人の給与を示す民間給与実態統計調査の年収とは、そのまま比べられません。

また、税金には所得税のほか住民税・固定資産税・自動車税などが含まれ、社会保険料は事業主負担を除いた本人負担分です。

5. 民間給与実態統計調査の「税額」に住民税と社会保険料は入っていない

1ページ目で見た税額は、給与から引かれるお金の一部です。どこまでが含まれているかを確認しておきます。

5.1 民間給与実態統計調査の税額は源泉徴収された所得税

民間給与実態統計調査の「税額」は、給与から源泉徴収された所得税の額で、平成25年分からは復興特別所得税も含んでいます。

給与から天引きされる住民税や、健康保険・厚生年金保険などの社会保険料は、この税額には含まれていません。

5.2 社会保険料控除の平均は1人76万6300円

同じ調査によると、年末調整を行った人のうち社会保険料控除を受けた人は4126万人で、1人あたりの平均控除額は76万6300円でした。

この平均は、すべての給与階級を合わせた数字です。給与階級ごとの社会保険料控除額は、この報告書には載っていません。

6. まとめ

令和7年分の民間給与実態統計調査では、年収1000万円超の給与所得者は6.6%で、男性は10.2%、女性は1.8%でした。この6.6%の人たちが、源泉徴収された所得税の約6割を納めています。

世帯単位の所得再分配調査でも、当初所得1000万円以上の世帯は税金と社会保険料で年382万5000円を負担していました。年収の額面だけでなく、差し引かれる額まで含めて家計を見ておくと、手元に残るお金の見通しが立てやすくなります。

参考資料

中本 智恵