キャッシュレス決済を利用したくても方法が分からない、何となく怖くて利用しない・できない人もいるでしょう。新サービスを利用していくには情報収集も必要ですし、新しい情報を生活に取り入れる理解力も必要となります。

中には、知識を得た上で利用しないという選択をする人もいるでしょうが、知識がある人とない人とでは「金融リテラシー(お金に関する知識やスキル)」にも大きな差が出てくるでしょう。

キャッシュレス化に興味のある人ほど、お金に関する情報をキャッチして吸収していく姿勢を持っていますし、お金の使い方や貯め方への関心も高い傾向があります。このような金融リテラシーの高さが貯蓄の成功につながっていることがデータとして判明しているのです。

「キャッシュレス派」は現金派よりも2.4倍貯蓄に成功!

株式会社ジェーシービー(JCB)が実施した「キャッシュレスとデビットカード利用意向に関する実態調査2019」(全国の20~69歳の男女1000名対象、複数回答)で、1年あたりの貯蓄増加額に関する傾向が判明しています。

昨年1年間で増やせた貯蓄額について、全体の平均値は57万2000円ですが、さらに「キャッシュレス派」と「現金派」のデータを見ると大きな差がついていることが分かります。

《1年間で増やせた貯蓄額》
・キャッシュレス派…83.2万円
・現金派…34.2万円
・全体の平均値…57.2万円

つまり、キャッシュレス派が現金派の2.4倍、貯蓄を増やしていることが分かります。しかも同調査で1年間の貯蓄増加額が「0円」の人が全体の39.8%という高い割合存在していることを踏まえると、お金に関する意識の違いが年間貯蓄額に大きな差を生んでいる実情が見えてきます。

よく分からないから利用しない、という壁を作ったままでは世の中の動きに乗り遅れてしまいます。お金に関する情報を集め、試行錯誤を繰り返しながらお金に接していく経験値が金融リテラシーの向上につながり、「賢い消費者」としての生活や貯蓄の成功にもつながっているといえるでしょう。

初詣は小銭不要!? お賽銭まで「キャッシュレス化」?

初詣や次節の参詣など、神社仏閣へ参拝される方も多いと思います。東京の明治神宮や千葉の成田山新勝寺、神奈川県の川崎大師などは、毎年300万人を超える参拝者が訪れるといいます。日本人にとってなじみの深い習慣となっている参拝やお賽銭ですが、そのお賽銭がキャッシュレス決済できる寺社も少しずつ増えているのです。

東京都の愛宕神社や世界遺産の日光二荒山(ふたらさん)神社などでQRコードによるお賽銭の入金や決済、スマートフォン決済が導入されています。こうした動きは、お賽銭のQRコード支払いが広く浸透している中国からの観光客を中心に人気があり、加えて、金銭管理のコストや防犯面、参拝時の行列軽減などが期待されているといいます。

また、QRコード決済対応の寺社の中には、現地で参拝しなくてもお賽銭の入金が可能な「クラウド参拝」が可能な寺社もあります。「本来の参拝のあり方」という否定的な意見もありますし、強い違和感を抱く人も多いでしょう。

一方で、日本で最初に寺社にお金の賽銭箱が設けられたのは450年ほど前の室町時代だといわれています。それ以前は、米などの供物が供えられていました。賽銭を含む寺社への供えものは「時代と共に変化してきた」と捉えることもできそうです。

この先、日本のキャッシュレス化そのものが進んでいくと、年月により人々の意識も変化が訪れることでしょう。世の中の流れとともに「キャッシュレス賽銭」への抵抗も次第に薄れてくるかもしれません。

まとめ

キャッシュレス決済には現金が持つコストやリスクを解決できる多くのメリットがあります。今後もキャッシュレス決済に特化したサービスが誕生してきます。お金の知識は生活を左右しますので、将来のためにも新しいサービスに関する知識を深めて、家計管理や貯蓄につなげていきましょう。

【参考】
キャッシュレス・ポイント還元制度 消費者のみなさま」経済産業省
「キャッシュレスの現状と今後の取組」経済産業省
「キャッシュレス・ビジョン」経済産業省
「キャッシュレスとデビットカード利用意向に関する実態調査2019」JCB

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

LIMO編集部