2018年に愛知県豊田市で起こった三つ子傷害致死事件。生後11カ月の次男を床に2回たたきつけて死なせたとして、母親が傷害致死罪に問われたものです。

一審の名古屋地裁岡崎支部が母親に懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡し、子育て経験者を中心に「情状酌量の余地がある」という声があがったのは記憶に新しいところです。そして先月、控訴審の判決が下りました。結果は、一審の判決を支持するというもの。

この控訴審の結果をきっかけに、多胎児育児の過酷な実情に再び注目が集まっています。

多胎児出産の現状は

厚生労働省が2019年にまとめた『多胎児支援のポイント』によると、2017年の多胎児出産の年間件数は約9900件で、出産全体の約1%を占めています。妊婦100人に1人の割合で多胎児が産まれている状況です。

同資料によると、母親の年齢が上がるにつれて多胎児出産の割合が増える傾向がみられます。45歳以下では多胎児出産の割合は2%台ですが、45歳以上では5.95%と一気に上昇。排卵誘発剤や体外受精などの不妊治療に起因する双子以上の多胎児出産が増加していると考えられています。

多胎児出産では単胎児に比べて低出生体重児の割合が多く、妊娠期から母親に安静保持や管理入院が求められるのが一般的です。

多胎児を授かれば喜びも2倍、3倍になるかもしれません。しかし、多胎児家庭の経済的・精神的・肉体的負担は重くなりがちです。「多胎児の出産や子育てにはリスクが伴う」という認識を国民全体で共有していく必要があるでしょう。

多胎児の過酷な子育てのリアル