レビュー:日銀が金融政策を維持した結果、日本株が急落した1週間
先週(4月25日‐4月29日)の株式市場はロシア、ブラジル市場など一部の市場を除き下落しました。特に日本株と欧州株は、先々週の上昇の反動もあり急落しています。
日米の金融政策は現状維持となりました。しかし、米国の1‐3月のGDPが緩慢な伸びとなり、物価上昇圧力も弱まりつつあることから、米国の長期金利は低下しました。
一方、欧州のGDPはじわじわと景気底入れを示しており、さらに日本では追加金融緩和がなされなかったことで、ドルが対円、対ユーロで下落しました。また、日本の通貨政策に対する海外の視線が厳しくなっていることも円高に影響しています。
米国などでは決算発表が続いていますが、注目のアップルはこの1週間で株価が▲11%下落しました。海外株は、アマゾン、フェイスブックなどごく一部の銘柄を除き軟調でした。欧州株では決算内容とユーロ高が影を落としている模様です。
日本では決算発表が佳境に入りましたが、株式市場は「ファナック・ショック」と名付けることができる展開でした。また、輸出企業の2016年度の会社計画がかなり厳しいという印象です。ちなみに、ファナックは東京市場で1週間に▲13%下落しています。さらに、金融セクターも急落しています。
このように先週はドル安、株安になりましたが、原油・貴金属など商品市況は堅調でした。
注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示
注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示
アウトルック:週末に米国雇用統計を控え、下値模索の展開か
今週(5月2日‐5月6日)は、週末の米国雇用統計に向けてドル相場と各国株式市場が落ち着き所を探ることになりそうです。
特に、先週末に急落となった日本株がどの水準で落ち着くかに注目が集まるでしょう。29日のシカゴCMEの日経平均先物6月限は15,880円で引けています。
しかし企業の業績見通しが厳しいことから、本年2月の安値である15,000円あたりが意識されることになるかもしれません。政府が消費税増税の見送り、熊本の震災復興も含めた景気対策をいち早く打ち出す必要が出ています。
マクロ経済の材料としては、主要国の製造業の景況感と米国の雇用統計が特に注目です。
【2016年5月1日 投信1編集部】
■参考記事■
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LIMO編集部