4. 終活の認知度は96.9%。それでも書けていない現実

【グラフ】終活に対するイメージ(全体・男女別・年代別)

【全体・男女別・年代別】終活に対するイメージのグラフ

出所:NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)

長寿化と認知症リスクを見据え、注目されているのが「終活」です。NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)の「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)」によると、「終活」という言葉の認知度は96.9%と高い一方、「エンディングノート」は認知されていても実行が進んでいません。特に高齢になるほど「まだ早い」という心理や体力面の問題から記入が進みにくい傾向があります。

4.1 エンディングノートの意識と実行率

  • 認知度:60歳代以上で9割を超える。
  • 所有率:70歳代以上が24.2%と最も高いが、50歳代以下は1桁台。
  • 実行率(持っている人のうち):20歳代が9割以上書いているのに対し、70歳代以上は約5割にとどまる。

高齢になるにつれて、書くべき項目が多岐にわたることや、「まだ早い」という心理的な先送り、あるいは健康上の理由などから筆が進みにくくなってしまったりする可能性があるのかもしれません。資産や医療・介護の希望を反映するためにも、気力・体力が充実しているうちから準備を始めることが重要です。

【調査概要】NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)

  • 調査目的 :高齢社会における終活意識の実態を明らかにし、個人が豊かで安心した人生後半期を送るための支援策や啓発活動に役立てる
  • 調査対象 :20~89歳の男女
  • 調査地域 :全国
  • 調査方法 :インターネットリサーチ
  • 調査時期 :2024年12月4日(水)~12月6日(金)
  • 回答者数 :2,052名
  • 割付方法 :人口構成比割付(令和2年国勢調査の性年代別人口比率に基づく)
  • 調査委託先 :株式会社マクロミル

5. まとめにかえて

今回は、厚生年金の受給額分布と、平均寿命・認知症の推計、そして終活の実態を確認してきました。

平均寿命は男性81.35年、女性87.33年で、前年より男性0.25年、女性0.20年延びました。一方、65歳以上では認知症が約443万人(12.3%)、軽度認知障害(MCI)が約559万人(15.5%)と推計されており、合わせて約1002万人にのぼります。

終活という言葉の認知度は96.9%と高いものの、エンディングノートの実行率は70歳代以上で約5割にとどまります。20歳代が9割以上書き上げているのとは対照的です。書くべきことが増える年代ほど、筆が止まりやすいということです。

なお、自分がどの水準にいるのかは「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確かめられます。ねんきん定期便は年代によって中身が違い、50歳未満はこれまでの加入実績に応じた金額、50歳以上は60歳まで納め続けた場合の65歳からの見込額が載ります。現役のうちに数字を見ておけば、打てる手も残ります。

厚生年金の受給額を見ても、月10万円未満が19.0%と月20万円以上の18.8%を上回っています。長い老後を、限られた年金で過ごす方が少なくありません。

木村 悦朗
老後を安心して過ごしていただくために、備えの順番をお伝えします。まず、口座と保険がどこに何件あるかを一覧にして「見える化」する。これだけで、ご家族が手続きに困る可能性はかなり減ります。次に、医療や介護についての希望を書き留める。最後に、財産を遺された方にどのように残していくのか。判断力があるうちでなければできない手続きもありますので、健康なうちに1つ目から始めてみてください。口座と保険の一覧づくりから入ると、具体的な備えの手段に進みやすくなります。

資産の準備という面では、NISAやiDeCoといった税制優遇制度の活用、家計の見直し、就労期間を延ばすことなどが選択肢になります。

まずは口座と保険の一覧を作るところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料