2人目はTさん(50代)。「主人が、あと2年で定年なんですが、それを機会に離婚したいと思っています。子供もみんな就職しましたしね。主人は、定年後は、私と旅行とか、あれこれ考えていたようですが、私はもうたくさん。だって、旅行に行くとなれば、準備も手配も私なのに、現地に行ったらすべて彼に合わせないといけないんですよ。そんなのがずっと、続くんだと思うと、もううんざり。残りの人生ぐらい好きに生きたい。」

「うちは結婚生活が長いから大丈夫だ」と安心してはいませんか?結婚から長い年月が経っているからといって、離婚の可能性がゼロになったわけではありません。なぜならTさんのように感じている人もいるからです。

明治安田生活福祉研究所は、1万2,000人の男女に「人生100年時代の結婚に関する意識と実態」を実施しました。その結果、「定年を機に離婚しようと考えたことがある」と回答した40~64歳の男女の割合は以下の通りとなっています。

子どもがいる既婚男性…19.6%
子どもがいない既婚男性…11.1%

子どもがいる既婚女性…28.1%
子どもがいない既婚女性…13.3%

こうみると、子どもがいる家庭は定年離婚を考える割合が高いといえます。「離婚したいが、子どもがある程度成長するまで踏み切れない」というケースが多いのかもしれません。

では、なぜ定年離婚を視野に入れるようになったのでしょうか。その理由を男女別に聞いてみました。

【男性】
1位…「配偶者からの愛情、配偶者への愛情を感じないから」(37.6%)
2位…「退職後に毎日配偶者と家で一緒に生活するのは耐えられない」(27.8%)
3位…「性格・価値観の不一致に耐えられなくなった」(27.4%)

【女性】
1位…「退職後に毎日配偶者と家で一緒に生活するのは耐えられない」(45.1%)
2位…「性格・価値観の不一致に耐えられなくなった」(33.2%)
3位…「配偶者からの愛情、配偶者への愛情を感じないから」(30.2%)

妻からの愛情不足を感じる男性が目立つ一方、女性は長時間夫と顔を合わせたくないと考えているケースが多いようです。「主人在宅ストレス症候群」「夫源病」といった言葉が登場したのも、このような背景が関係しているのかもしれませんね。

「卒婚」という選択肢も