ここで重要な質問をぶつけてみました。日本メロンパン協会の一員としてメロンパンの普及と啓発に努めるメロンパンさんが考える「メロンパンの魅力」とは、いったいどこにあるのでしょうか。
――メロンパンさんが熱心に広めようとしているメロンパンの魅力とは、いったい何でしょうか?
「メロンパンのいちばんの魅力は、やはり多様性でしょうか」
――近頃よく聞くワードですね。パンにも多様性が。
「パン生地の上をビスケット生地で覆う以外に、『メロンパンとはこれだ!』という決まりはありません。これがメロンパンを作る上での無限の可能性を生み出しています。パン屋さんを巡ってみても、お店によってこだわりや違いが感じられるでしょう?」
――確かに。ビスケット生地の部分、いわゆる「皮」の厚さや堅さだけを見ても店によって異なりますし、それによって食感や味は大きく変わってきますね。
「チョコチップメロンパンなどはチョコの種類を変えるだけでもガラッと変わります。生地に練り込むフレーバーもさまざま。作り手の試行錯誤がそこにあります。……パン屋さん、ありがとう。こんなにおいしい私を作ってくれて」
3. メロンパニストって何だ?
実は日本メロンパン協会にもTwitter公式アカウント(@MelonpanAssoc)が存在します。そのプロフィールによると日本メロンパン協会は「任意団体で、メロンパンの普及と啓発を目的とし、1個のメロンパンと3人のメロンパニストによって2016年に立ち上げられた」とのことです。
ここにはじめて聞く言葉が出てきました。次はこれについて尋ねてみましょう。
――あの……「メロンパニスト」とは何なのでしょうか?
「メロンパニストとは、メロンパンを愛する者です」
――これは簡潔明瞭な。
「メロンパニストであることに条件だとか、協会の認定制度といったものは、現在のところ設けておりません。メロンパンを愛する人なら誰もがメロンパニストを名乗る資格がある、と普段から提唱しています」
――自由にメロンパニストを名乗っていいのですね。
「私たちが縛りつけるようなことをあまりしたくないという思いがあります。というのは、メロンパンはほかのパンと少し違っているからです」
「もともとメロンパンは、表面のビスケット生地に溝が刻んであって見た目がメロンのようだからメロンパンで、メロンの果肉も果汁も入っていませんでした。しかし時代が下ると、生地に果汁を練り込んだり、メロンクリームを挟んだりといったメロンパンも登場してきました。実際にメロンがメロンパンに入るようになったのです。
これに異を唱える人もいれば、これこそメロンパンと言う人もいる。ここで私は言いたい。どちらもメロンパンでいいじゃないか、と」
――なるほど、そもそもメロンパン自体が自由奔放、融通無碍なパンなのですね!
「そうなのです。『メロンパンの姿や肌の色、メロンパンの思想による争いや差別のない社会』というものが、日本メロンパン協会の理念にあります。いろいろなメロンパンがあっていい。いろいろなメロンパニストがいていい。それが敢えてメロンパニストの定義をふわっとさせている理由です」
――メロンパンだけにふわっと。
「ふわっと。名称だって『メロンパニスト』限らず、『メロンパンアンバサダー』や『メロンパンソムリエ』、あるいは『メロンパナー』でもいいのです」
――メロンパンもメロンパニストも、あり方や精神は自由である、ということですね。
「あ、私自身はメロンパニストではなくて、メロンパン本パンです」
――本パン?
「人間だと『本人』と言うじゃないですか。私はメロンパンなので『本パン』です」
4. メロンパンの普及・啓発活動のきっかけ
――メロンパンを普及させようというのはメロンパンを愛するがゆえだと思うのですが、実際に普及・啓発活動をはじめるきっかけは何だったのでしょうか。
「普及・啓発と言うと、大げさというか、おこがましさもありますが……さまざまなメロンパンの『違い』を楽しんでいただいて、その上で、みなさまの好みのタイプのメロンパンを見つけていただけたら嬉しいな、と。そう思ったのが、TwitterやInstagramなどSNSでメロンパンの発信を始めたきっかけです」