個人向け国債は発行から1年たつまで換金できないと聞いて、まとまったお金を預けるのをためらったことはないでしょうか。

財務省が公表している2026年9月募集分の発行条件によると、募集期間は9月3日から9月30日までで、発行日は10月15日です。中途換金ができるのは第2期利子支払日である2027年10月15日以降ですが、その前でも換金できる特例が2つ置かれています。

この記事では、その特例を実際に使うときに何の書類が要るのか、換金金額がいつ支払われるのかを、財務省の資料から確認していきます。

1. 個人向け国債の中途換金は発行から1年たってからが原則

まず、特例の前提になる原則から確認します。

1.1 2026年9月募集分は固定5年が年2.24%で最も高い

財務省によると、2026年9月募集分の利率は固定5年が年2.24%、固定3年が年1.96%、変動10年が年1.95%です。

いずれも募集の価格は額面金額100円につき100円で、償還金額も額面金額100円につき100円です。中途換金のときも償還金額の考え方は変わりません。

3タイプとも、中途換金ができるようになるのは2027年10月15日からです1/2

2026年9月募集分の個人向け国債3タイプの利率、償還期限、中途換金ができる日をまとめた一覧表

出所:財務省「個人向け国債の発行条件」を参考にLIMO編集部作成

  • 固定5年(第186回):利率は年2.24%/償還期限は2031年10月15日/中途換金ができる日は2027年10月15日
  • 固定3年(第196回):利率は年1.96%/償還期限は2029年10月15日/中途換金ができる日は2027年10月15日
  • 変動10年(第198回):利率は年1.95%/償還期限は2036年10月15日/中途換金ができる日は2027年10月15日

1.2 中途換金ができるのは第2期利子支払日以降

財務省は、個人向け国債は第2期利子支払日つまり発行から1年が経過した以降であれば、原則としていつでも中途換金できるとしています。

2026年9月募集分は発行日が2026年10月15日で、利払日は毎年4月15日と10月15日です。第2期利子支払日は2027年10月15日にあたります。

その前の期間は、原則として中途換金ができない期間です。ただし、この期間中でも換金できる場合が2つ定められています。

2. 災害で個人向け国債を中途換金するときは罹災証明書などの書類が要る

1つ目は、災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害により被害を受けた場合です。

2.1 請求できるのは災害救助法が適用された市区町村に居住している口座名義人

財務省は、災害救助法が適用された市区町村に居住している口座名義人による中途換金が可能だとしています。

災害が起きたかどうかではなく、災害救助法が適用された市区町村に住んでいるかどうかで決まります。

2.2 申請には罹災証明書や罹災届出証明書といった公的機関が証明する書類が必要になる

財務省は、申請の際には罹災証明書、罹災届出証明書といった公的機関が証明する書類などが必要になるとしています。

このうち罹災証明書は、災害対策基本法第90条の2に交付の定めがあります。市町村長は、災害の被災者から申請があったときは、遅滞なく住家の被害などの状況を調査し、被害の程度を証明する書面を交付しなければならないとされています。

つまり、申請先は住んでいる市区町村です。国債の口座がある金融機関ではありません。

2.3 特定贈与信託の受益者が被災した場合は信託会社等が請求する

個人向け国債は原則として個人しか保有できませんが、特定贈与信託の受託者である信託銀行等は例外として保有できます。

財務省は、特定贈与信託の受益者が災害により被災した場合には、信託会社等が中途換金の請求を行うことができるとしています。その際にも、受益者が被災したことを証明する罹災証明書、罹災届出証明書といった公的機関が証明する書類などが必要です。

3. 口座名義人が亡くなった場合は相続人たる地位を証明する書類が要る

2つ目は、口座名義人が亡くなった場合です。

3.1 中途換金ができない期間中でも相続人による中途換金ができる

財務省は、口座名義人が亡くなられた場合には、中途換金ができない期間中であっても相続人による中途換金が可能だとしています。口座名義人には特定贈与信託の受益者も含まれます。

申請の際には、相続人たる地位を証明する書類などが必要になります。

3.2 手続きは金融機関によって異なることがある

財務省は、手続きは金融機関によって異なる場合があるとして、口座を開設している取扱機関へ尋ねるよう案内しています。

災害の場合の手続きについても同じ案内がされています。必要な書類がそろっているかは、取扱機関に確かめることになります。

4. 個人向け国債の中途換金は申し込んだ日を含めておおむね3営業日後に支払われる

換金を申し込んでから、お金が手元に届くまでの時間も確認しておきます。

4.1 支払われるのはおおむね3営業日後

財務省によると、中途換金の換金金額が支払われるのは、中途換金を申し込んだ日を含めておおむね3営業日後です。

申し込んだタイミングなどによって異なるため、急ぐ場合は申し込む取扱機関に確かめておくと見通しが立ちます。

4.2 中途換金に手数料はかからない

中途換金するときの換金金額は、額面金額から所定の金額が差し引かれますが、そのほかに手数料は必要ないとされています。

また、保有している個人向け国債は1万円単位で、一部だけを中途換金することもできます。全額を解約しなければならないわけではありません。