1. ワーママ採用で生じる「求職者と採用側」の視点のズレ

正社員・パートを問わず、長年人事や採用業務に携わってきた中で、子育てをしながら働く女性(ワーキングマザー)の応募書類や面接に数多く立ち会ってきました。

その中で常に感じてきたのが、「求職者側(ワーママ)」と「企業側(採用担当・面接官)」の間にある、微妙な“視点のギャップ”です。

ワーママ側としては、「子供の急な発熱で休むかもしれない」「残業や出張ができない」といった勤務上の制約を、誠実に伝えなければならないという焦りや不安を強く抱きがちです。

そのため、面接の冒頭から「〇時までの時短勤務が条件です」「急なお休みをいただく可能性があります」といった“条件面”の主張が先行してしまうケースを多く見かけてきました。

しかし、採用する企業側の本音はどこにあるのでしょうか。ワーキングマザー支援を行う株式会社mogが2026年9月に発表した「ワーキングマザーに関する企業アンケート」(対象:企業42社)のデータから、採用現場の実情を紐解いてみましょう。

2. 企業が抱く「ワーママ像」と「実際の評価基準」のギャップ

調査結果によると、企業が「ワーキングマザー」と聞いて想起する人材像の上位には、以下のような項目が並んでいます。

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出典:ワーキングマザーに関する企業アンケート(株式会社mog)

出典:ワーキングマザーに関する企業アンケート(株式会社mog

  • 「限られた時間の中で効率的に働く」:76.2%

  • 「柔軟な勤務制度を必要とする」:71.4%

  • 「家庭・育児との両立を重視する」:71.4%

  • 「急な休みなどへの配慮が必要な人材」:69.0%

このように、企業が漠然と抱くワーママへのイメージは、キャリアやスキルの高さというよりも、「勤務時間の制約」や「両立・配慮が必要」といった働き方の特徴が先行しやすい傾向にあります。ちなみに、「専門性・経験を持つ」と答えた企業は14.3%、「管理職・リーダーとして活躍できる」は9.5%にとどまりました。

こうしたイメージを見ると、「やっぱり時間の制約があると採用されにくいのかな……」と不安になるかもしれません。しかし、実際の「評価基準」についての質問では、大きく異なる数値が出ています。

ワーキングマザーを管理職・リーダー候補として採用・登用する際、「経験・能力があれば、ワーキングマザーであることは特に関係ない(73.8%)」、「経験・能力があれば、積極的に採用・登用したい(14.3%)」と回答しており、合計88.1%の企業が「経験・能力」を軸に評価すると答えているのです。

また、同等の経験・能力を持つ求職者であっても、育児による勤務時間などの制約が採用判断に「大きく影響する/ある程度影響する」とした企業は合わせて38.1%でした。

柳 奈央子

このデータは、企業側も「制約があること」自体を頭から理由に不採用にしているわけではなく、まずは「何ができる人なのか(能力・経験)」を厳しく見極めようとしていることを示しています。