3. 銀座店は「1店舗だけの挑戦」ではない
銀座店の位置付けを考えるうえで重要なのが、今後の大型ブランド専門店展開の起点とされていることです。
株式会社セカンドストリートは、銀座店を皮切りに、東京を中心とした主要都市で大型ブランド専門店の出店を推進するとしています。
セカンドストリートは、総合リユース店だけでなく、地域や商品ジャンルに合わせた専門店・コンセプトショップの展開も進めています。
2026年3月には、ヴィンテージやオールドのメンズ古着を中心に扱う「セカンドストリート下北沢東口店」をオープン。コアなファッションニーズを持つ顧客の来店を増やすため、エリア特性に合わせたコンセプトショップに注力すると説明しています。
銀座ではラグジュアリー、下北沢ではヴィンテージというように、立地や顧客層に合わせて店舗の役割を変えています。
4. 国内949店舗、海外にも拡大するセカンドストリート
セカンドストリートそのものの店舗網も大きく広がっています。
2026年6月末時点で、国内の2nd STREETは949店舗。海外では米国56店舗、台湾50店舗、マレーシア34店舗、タイ11店舗、シンガポール3店舗、香港4店舗を展開しています。
米国では2030年3月までに100店舗を目指しています。
株式会社ゲオホールディングスによると、2026年3月期のセカンドストリート事業の売上高は1552億5000万円で、前年同期比17.6%増となりました。国内事業ではリユース衣料・服飾雑貨が通期を通じて堅調に推移し、国内で64店舗を新規出店しています。
2026年6月末には国内店舗が949店舗まで増えており、同社は2029年3月期までに国内1000店舗を目標に出店拡大を進めています。
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出所:株式会社ゲオホールディングス
銀座への出店は、店舗数を増やすだけでなく、立地や顧客層に応じて店舗の専門性も高めている流れの中で捉えることができます。
5. リユース市場そのものも拡大
セカンドストリートが出店を進める背景には、リユース市場の成長もあります。
環境省によると、2024年の国内リユース市場規模は、一般消費者の最終需要ベースで3兆4986億円でした。2021年の3兆4048億円から2.8%増加しています。
自動車を除いた市場でも、2024年は1兆5772億円で、2021年の1兆4828億円から3.9%増加しました。
株式会社ゲオホールディングスは、物価高を背景とした節約志向に加え、一点物の魅力や環境負荷低減といった価値観の広がりを背景に、リユース市場の成長が続いていると説明しています。
さらに2026年3月には、同社の調査で「リユース・リサイクルショップに持ち込んで売る」と回答した人の割合が78.0%となり、前年から2.6ポイント上昇しました。
「捨てる」と回答した割合は4年連続で減少し、31.9%となっています。
リユースは「安く買うための選択肢」だけでなく、不要になったものを売って次の人へ渡す行動としても広がっています。
6. 「庶民向けのセカストが銀座」の答えは?
今回の銀座出店は、セカンドストリートが従来の総合リユース店をやめて、高級店へ転換するという話ではありません。
国内外で店舗網を拡大しながら、地域や顧客層に合わせて店舗の役割を細分化する戦略の一環と考えられます。
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出所:株式会社ゲオホールディングス
実際、銀座店では1万円以下の商品も100万円を超える商品も扱い、カジュアルからラグジュアリーまでを一つの店舗に集めています。
従来のセカンドストリートが持つ幅広い商品調達力を残しながら、銀座では高級ブランドや専門的な査定、空間づくりを強化した形です。
また、ゲオグループには高級時計やブランド品、ジュエリーなどの買取・販売を手がける「OKURA」もあります。2026年6月末時点で23店舗を展開しており、グループ内にはすでにラグジュアリーリユースの専門知識があります。
こうした事業基盤も、セカンドストリートが銀座でブランド専門店を展開する土台になっています。
「セカストが銀座に進出した」というより、大規模なリユースチェーンが、これまで蓄積してきた商品調達力と店舗網を使って、ラグジュアリー市場まで顧客接点を広げ始めたと見ると、今回の出店の意味が分かります。
今後、東京の主要都市で「セカンドストリート+地名」の大型ブランド専門店がどのように増えていくのか。銀座店は、その方向性を示す最初の店舗になりそうです。
7. トレンドウォッチャーのひとこと
セカンドストリートの海外展開を見ると、リユース品は日本国内だけで売買される商品ではなく、国境を越えて流通する商品になっています。
株式会社ゲオホールディングスは米国や台湾、マレーシアなどに2nd STREETを展開しており、国内では949店舗まで店舗網を広げています。国内に多数の買取拠点を持つことは、リユース品を集める力にもつながります。国内外に販売拠点を持つことで、買い取った商品の販路を広げられることも、店舗網を拡大するメリットの一つと考えられます。
今回の銀座店は、英語・中国語での接客にも対応するなど、国内の富裕層だけでなく海外からの来店も意識した店舗です。銀座を起点としたブランド専門店の展開は、国内のリユース需要を取り込むだけでなく、海外を含めた幅広い顧客にブランドリユースを届ける動きとして見ることができます。
新品を製造して販売する場合とは異なり、リユースでは一度市場に出た商品を別の顧客へ渡すため、販売網を広げることで商品の行き先も増やせます。国内949店舗と海外の店舗網を持つセカンドストリートにとって、これは今後の事業拡大を考えるうえで重要な要素になりそうです。銀座で始まるブランド専門店が、国内外のリユース市場をどのようにつないでいくのかにも注目したいところです。
参考資料
- 「セカンドストリート」
- 「2nd STREET GINZA」
- 株式会社セカンドストリート「セカンドストリートのブランド専門店として初となる旗艦店が銀座に登場!『2nd STREET GINZA』9月18日(金)オープン」
- 株式会社ゲオホールディングス「ショップデータ」
- 株式会社ゲオホールディングス「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
- 株式会社ゲオホールディングス「2nd STREET(リユース)」
大蔵 大輔
