5. 中期経営計画2026の最終年度をどう着地させるか
2026年12月期は、会社が掲げる中期経営計画2026の最終年度にあたる。短信では、2027年から始まる中期経営計画2029に向けた成長基盤の構築を進めるとしている。
5期を並べると、変化の速さが分かる。2021年12月期の売上高は4,040億円、営業利益219億円で、営業利益率は5.4%だった。2022年12月期は4,846億円と340億円で7.0%。
2023年12月期は5,704億円と542億円で9.5%。2024年12月期は6,785億円と1,001億円で14.8%。2025年12月期は8,109億円と1,425億円で17.6%となった。
売上高は5期でおよそ2倍、営業利益は6倍を超える。利益率も毎期積み上がっており、一度の特需で跳ねた形ではない。
ROEも6.9%から39.1%へ上がった。通期予想の営業利益1,950億円が実現すれば、営業利益率は18%台に乗る計算になる。
最終年度を計画の達成点としてではなく、次の計画の出発点として使おうとしている。予想の引き上げ方には、そういう構えが透けて見える。
6. 地域別に分かれる成長の重心
成長の重心がどこにあるのかは、地域別に見ると分かりやすい。
2025年12月期の売上高は、欧州地域が2,258億円で最大。日本地域が1,563億円、北米地域が1,411億円、中華圏地域が1,202億円と続く。
利益率で見ると順番が入れ替わる。日本地域の営業利益率は28.6%で最も高く、東南・南アジア地域が22.0%、中華圏地域が20.9%。欧州地域は16.3%、北米地域は11.3%にとどまる。
伸び方も一様ではない。売上高の前年比は東南・南アジア地域が+33.9%、欧州地域が+25.9%と速い一方、北米地域は+4.6%と鈍い。
つまり、売上を稼ぐ地域と利益率を稼ぐ地域が一致していない。日本地域は規模こそ2位だが、営業利益では最大の447億円を生んでいる。海外で規模を取り、国内で利益率を確保する。この二重構造が、いまの収益性を支えていると考えられる。
北米の伸びの鈍さは、次の中期経営計画での論点になるだろう。規模の大きい市場で伸びが止まると、全体の成長率はいずれ頭を押さえられる。
セグメント資産の配分も見ておきたい。欧州地域が1,802億円で最も重く、日本地域が1,208億円、北米地域が821億円と続く。売上の規模とおおむね対応した置き方だ。
ただし設備投資は違う動きをしている。2025年12月期は日本地域が57億円、欧州地域が55億円と国内外でほぼ並び、北米地域は8億円にとどまった。伸びの鈍い市場に資本を積み増していないという判断が、数字に出ている。
7. 筆者コメント
地域別の利益率と、上期に引き上げられた通期予想を重ねて見ると、この会社の伸び方の癖が見えてくる。
国内で厚い利益率を確保し、そこで作った原資を欧州とアジアの拡大に回す。売上の伸びが速い地域ほど利益率が低いのは、投資の途中にあるからだろう。
もうひとつ、自己資本比率が業種中央値より低いまま推移している点も見ておきたい。利益が積み上がっても資本が急に厚くならないのは、自社株買いや配当で株主へ戻しているからだと考えられる。稼ぐ力を高めながら資本を絞る運営は、資本効率の観点では理にかなっている。ただし需要が反転したときの耐性は、その分だけ薄い。
スポーツ用品は流行にも天候にも左右される商売だ。好調な期の数字だけで構造を決めつけず、売上が伸び悩む局面で利益率をどこまで保てるかを見ていく。そういう着眼をおすすめしたい。
参考資料
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石津 大希