通帳記入のためだけに、窓口やATMへ足を運んだことはないでしょうか。

スマートフォンひとつで残高や取引履歴を確認できるようになった今、紙の通帳を使う機会そのものが減っています。

そうした流れの中で、メガバンクや一部の地方銀行では、紙の通帳を発行・維持するだけで手数料がかかる仕組みが広がっています。

銀行によって「年550円」の定額型と、「発行・繰越のたび1100円」の都度型があり、しくみを知らないまま使い続けていると、思わぬ引き落としに気づくこともあります。

一方でゆうちょ銀行のように、今のところ紙通帳の維持手数料そのものを明記していない金融機関もあります。

本記事では、主な銀行の紙通帳手数料の現状と、手数料がかからない条件、Web通帳・無通帳型に切り替える際の注意点を整理します。

1. 紙通帳の有料化とは?メガバンク・地方銀行に広がる新しい手数料

まずは、どの銀行がどのような条件で紙通帳の手数料を導入しているのかを確認しておきましょう。

銀行によって「毎年定額型」と「発行・繰越のたび型」がある1/2

銀行によって「毎年定額型」と「発行・繰越のたび型」がある

出所:三菱UFJ銀行「紙通帳利用手数料」、三井住友銀行・みずほ銀行よくあるご質問、岩手銀行「各種発行手数料」、みなと銀行「普通預金口座の通帳利用手数料について」をもとにLIMO編集部作成

1.1 三菱UFJ銀行・三井住友銀行は「年550円」の定額型

三菱UFJ銀行では、2022年4月1日以降に開設した普通預金口座で紙通帳を利用している場合、年550円(税込)の「紙通帳利用手数料」がかかります。

対象となるのは、毎年1月31日時点で18歳以上70歳未満の個人顧客です。

三井住友銀行も同様に、2021年4月1日以降に開設した口座を対象に、年550円(税込)の手数料を設けています。

こちらは18歳未満・75歳以上の顧客や、Web通帳を選択している顧客は対象外です。

両行とも、毎年決まった時期に1年分がまとめて引き落とされる仕組みで、金額があらかじめ分かりやすい点が特徴です。

1.2 みずほ銀行・一部の地方銀行は「発行・繰越のたび1100円」

これに対し、みずほ銀行は「年」ではなく「発行・繰越ごと」に手数料がかかる方式を採っています。

2021年1月18日以降に口座を開設した顧客が対象で、通帳を新規発行したり、ページがいっぱいになって繰り越したりするたびに、1冊1100円(税込)がかかります。

発行・繰越の時点で70歳以上であれば、手数料は無料です。

地方銀行の中にも同様の方式を採る銀行があり、たとえば岩手銀行では、2022年10月3日以降に開設した口座を対象に、1冊1100円(税込)の発行手数料を設けています。

岩手銀行の場合、通帳発行時点で18歳未満または65歳以上であれば無料になるほか、そもそも通帳を発行しない「無通帳型口座」も対象外です。

一方、みなと銀行のように、2025年1月6日以降開設の口座を対象に、三菱UFJ銀行などと同じ「年550円」の定額型を採用する地方銀行もあります。

手数料の金額や対象年齢、開始時期は銀行によってばらばらなので、自分の口座がどの銀行の、いつ開設したものかを確認することが欠かせません。

2. 「毎年1100円」ではない?発生タイミングの違いに注意

ここで気をつけたいのが、「発行・繰越のたび1100円」という方式の受け止め方です。

通帳の「繰越」とは、記帳できるページがすべて埋まったときに、新しい通帳へ切り替える手続きを指します。

繰越が発生する頻度は、口座の取引回数によって変わるため、必ずしも1年に1回とは限りません。

入出金が少ない口座であれば数年に1回程度で済むこともあれば、取引が多い口座では1年に満たない間隔で繰越が発生することもあります。

つまり、みずほ銀行や一部の地方銀行の「1100円」は、三菱UFJ銀行などの「年550円」のように、毎年決まったタイミングで引き落とされる手数料とは性質が異なります。

「うちの銀行も年550円くらいだろう」と思い込んでいると、繰越のタイミングでまとまった金額が引き落とされ、想定より負担が大きく感じられることもあるかもしれません。

3. 手数料がかからない3つの条件

各行の情報を整理すると、手数料がかからないケースにはいくつか共通点があります。

手数料をかけないための3つの確認ポイント2/2

手数料をかけないための3つの確認ポイント

出所:三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、岩手銀行、みなと銀行の各公式サイトをもとにLIMO編集部作成

3.1 年齢を確認する

多くの銀行で、一定の年齢以上であれば手数料が免除されます。

ただし、その線引きは銀行によって異なり、三菱UFJ銀行・みずほ銀行・みなと銀行は70歳以上、三井住友銀行は75歳以上、岩手銀行は65歳以上を無料の基準としています。

3.2 口座開設時期を確認する

いずれの銀行も、手数料の対象となるのは制度導入後に新たに開設された口座が中心です。

三井住友銀行なら2021年4月1日、三菱UFJ銀行なら2022年4月1日というように、対象となる開設日がそれぞれ決まっています。

それより前から使っている口座であれば、年齢にかかわらず手数料がかからない銀行がほとんどです。

3.3 Web通帳・無通帳型に切り替える

紙の通帳を発行・繰越しない「Web通帳」や「無通帳型口座」を選べば、年齢や口座開設時期にかかわらず手数料はかかりません。

三井住友銀行では、手数料の判定日である毎年2月第1営業日の23時59分までにWeb通帳へ切り替えれば、その年の手数料は発生しない仕組みになっています。

4. ゆうちょ銀行は維持手数料の明記なし、ただし無通帳型も選べる

一方、ゆうちょ銀行の公式サイトには、紙通帳の維持手数料そのものについての記載が見当たりません。

ゆうちょ銀行には、通帳を発行する「ゆうちょダイレクト」と、通帳を発行しない「ゆうちょダイレクト+(プラス)」があります。

無通帳型の「ゆうちょダイレクト+」に切り替えると、入出金明細をWeb上で最長20年間確認できるようになり、紙の通帳では最大2か月分しか照会できなかった点が大きく改善されます。

なお、紙の通帳がある口座から無通帳型に切り替える際の手数料については、ゆうちょ銀行の公式サイトに特に記載が見当たりません。一方、無通帳型の口座から改めて紙の通帳を発行する場合は、通常1100円(税込)の手数料がかかりますが、口座開設から2か月以内に初めて発行する場合に限り、この手数料は無料になる案内があります。