元手となる資金が十分にないときの資産運用は効果が薄い

例えば資産運用に純粋に回せるお金が50万円程度あったとします。

年利20%で運用に成功したとしても年に10万円、月で約8,000円程度の利益にしかならないのです。しかも特定口座で20%ほど税金が引かれるとなると、月あたり約6,000円程度の利益にしかなりません。

労力に対してリターンが少なすぎる

資産運用を本格的に行う際は、日々のニュースを追ったり銘柄分析をしたりと多少の労力がかかります。

50万円を年利20%で運用するために、毎日個別銘柄や市場関係のニュースを追いかけ財務分析をするなど、かなり手間をかけても月に税引き後約6,000円程度にしかならないと考えると、労力に対するリターンは少なすぎるのではないでしょうか。時給にすれば最低賃金を下回るかもしれません。

人的資本を育てる方が資産形成の初期には有利

働いてお金を稼ぐために稼ぐ力、つまり人的資本を育てる方が資産形成の初期には有利です。

例えば転職で評価されやすい資格をとったり、副業できるような特技を磨いたりして収入を増やす方が、少ない資金を無理に運用するよりも効率よくお金を増やせます。

自分自身に投資をする方が結果的には資産形成につながるということも少なくありません。

資産形成の初期の段階から資産運用をするなら積立とNISA、iDeCoの活用

資産運用は、余剰資金のあるお金持ちだけのものなのかとガッカリしてしまった人もいるかもしれません。

しかし資産形成初期の段階でも、おすすめの資産運用もあります。貯蓄の一部を現金ではなく積み立てる方法です。

NISA、iDeCoなどの税制上優遇された口座で資産運用をするのも資産形成の初期の段階におすすめです。

とくにNISAやiDeCoはパッシブ型運用の積立と相性が良い制度設計になっています。

貯蓄の代わりだと思って、少しずつNISAやiDeCoで積み立てて資産形成をしていきましょう。

アクティブな資産運用はNISAやiDeCoで積立投資をしながら十分に資産形成ができてからでも遅くはありません。

まとめ

資産形成とは貯蓄と運用を通して資産を築いていくことです。資産運用は資産形成の一部に過ぎません。

そして資産形成で十分なお金がない初期の段階で無理なアクティブ運用にばかり時間をかけても、労力と時間がかかる割にリターンは小さくなります。

むしろ資産形成の初期の段階では自分が稼げるようになるための自己投資と、NISAやiDeCoを利用したパッシブ運用の積立で資産を形成していくべきです。

アクティブな運用を考えるのは、それからでも遅くはありません。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

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