4. 対象区分は世帯の課税状況と本人の収入・所得で確認する

所得段階は、世帯と本人の両方を見て決まります。順番に確認していきましょう。

4.1 本人の非課税と世帯全員の非課税を区別する

住民税非課税世帯とは、世帯主を含む世帯全員が住民税非課税の世帯です。本人が非課税でも、同じ世帯の配偶者などに住民税が課税されていれば、非課税世帯としての第1~第3段階の条件とは異なります。

所得段階は、次の順に確認します。

  1. 世帯の課税状況を確認する:世帯全員が非課税か、課税されている人がいるかを確かめます。
  2. 本人の前年の収入・所得を確認する:世帯全員が非課税の場合は、本人の収入・所得などから第1~第3段階を確認します。

保険料は65歳以上の方それぞれについて算定されるため、夫婦で同じ段階になるとは限りません。

4.2 年金以外の所得がある場合は年金収入だけでは判定できない

年金以外にも所得がある場合は、年金収入だけでは判定できません。判定に使うのは、前年の公的年金等の収入金額と、給与所得や事業所得などの合計です。年金による所得を重ねて数えないよう、法令では「公的年金等に係る雑所得を除いた合計所得金額」を年金収入に加える仕組みになっています。

給与については、受け取った額をそのまま加えるのではなく、給与所得控除などを反映した所得を使います。年金以外の収入がある方は、市区町村の介護保険料の通知書や案内で該当する所得段階を確認する必要があります。

4.3 2026年度は住民税が非課税でも、介護保険料の計算では課税者として扱われる場合がある

対象となる可能性があるのは、本人や同じ世帯の家族に、2025年中のパート・アルバイトなどの給与収入がある方です。一定の条件に該当すると、住民税は非課税でも、2026年度の介護保険料の計算では課税者として扱われることがあります。

これは、給与から所得を計算するときに差し引く「給与所得控除」の最低保障額が、55万円から65万円へ引き上げられたことに伴う特例です。

厚生労働省の通知によると、この見直しで所得段階が変わりうる方については、「見直し前と同様の判定となるよう」特例が設けられています。つまり、引き上げがなかったものとして段階を判定するため、住民税と介護保険料で課税・非課税の扱いが分かれる場合があります。住民税が新たに請求されるという意味ではありません。

この特例が設けられたのは、給与所得控除の引き上げで所得段階が下がると、第9期(2024~2026年度)の保険料収入が減ってしまうためです。通知では「保険者の責めに帰さない保険料収入不足を可能な限り防ぐ観点から」と説明されています。

  • 本人に給与収入がある場合:本人の所得段階に影響することがあります。
  • 同じ世帯の家族に給与収入がある場合:その家族が課税者として扱われ、本人の保険料も「世帯に課税者がいる」区分で計算されることがあります。

給与収入があれば必ず対象になるわけではありません。また、年金以外の収入すべてを対象とした特例でもありません。

なお、この判定の特例が適用されるのは2026年度の保険料の算定のみです。2027年度からは新たな介護保険事業計画期間に入り、見直し後の所得を基準として改めて設定されます。

一方、2025年度に住民税非課税だった方が、給与所得控除の引き上げ分の範囲で就労収入を増やし、2026年度も非課税であり続ける場合には、2026年度限りの特例減免があります。介護保険法第142条の「特別の理由」に該当するものとして、非課税者として判定する保険料段階まで減免できる仕組みです。

本人の申請にもとづく個別の認定が基本ですが、事務負担を踏まえて、個別申請によらずシステム上で対応することも認められています。

本人や家族に給与収入がある場合は、市区町村の介護保険担当窓口で、所得段階の判定と特例減免の適用状況、申請の要否を確認すると安心です。

4.4 所得段階に応じた軽減と、別途利用できる減免は異なる

第1~第3段階の保険料軽減は、保険料を計算する際に反映する仕組みです。通知書に軽減後の保険料が示されている場合、そこからさらに同じ軽減分を差し引くものではありません。

これとは別に、特別な理由がある場合は、市区町村の条例に基づく保険料の減免や、支払いを待ってもらう徴収猶予を受けられることがあります。納付が難しい場合は、市区町村の介護保険担当窓口で、対象条件や必要な申請を確認することができます。

5. 10月の天引き額は、年間保険料から仮徴収済みの額を差し引いて確認する

最後に、実際の金額がどう決まるのかを、数字を入れて確かめます。

5.1 年間保険料3万6000円の場合の計算例

ここまでに示した保険料の月額目安は、1か月当たりの負担を把握するためのものです。10月に実際に差し引かれる額は、それまでにいくら納めたかによって変わります。

継続して特別徴収され、年度途中の加入・脱退や普通徴収との併用がなく、本徴収の残額を3回に均等に分ける例で確認します。

以下は、2026年度の年間保険料を3万6000円、4月・6月・8月に各4000円を仮徴収済みと仮定した筆者試算です。特定の市区町村や所得段階の実額ではありません。

  • 年間保険料の月額換算=3万6000円÷12=3000円
  • 仮徴収済みの合計額=4000円×3回=1万2000円
  • 本徴収の合計額=3万6000円−1万2000円=2万4000円
  • 10月・12月・翌年2月の1回当たり徴収額=2万4000円÷3回=8000円
  • 年間の検算=1万2000円+8000円×3回=3万6000円

この例では、8月までの天引き額は1回4000円、10月以降は1回8000円です。年度前半に納めた額が少ない分を、年度後半に納めます。

実際には端数処理や徴収額の調整があるため、10月・12月・翌年2月が同額になるとは限りません。最終的には通知書に記載された各回の金額を確認します。

6. まとめ

住民税非課税世帯の介護保険料は、所得段階と市区町村の基準によって異なります。10月の天引き額が増えていても、年間の負担が増えたとは限らないため、気になる場合は通知書の年間保険料も確認するとよいでしょう。

また2026年度は、給与所得控除の引き上げに伴う判定の特例により、住民税は非課税でも介護保険料の計算では課税者として扱われる場合があります。反対に、控除の引き上げ分の範囲で就労収入を増やした方には、2026年度限りの特例減免が用意されています。

本人や同じ世帯の家族に給与収入がある方は、所得段階の判定と特例減免の適用状況を、市区町村の介護保険担当窓口で確認しておくと安心です。

各窓口や公式サイトで最新情報を確認のうえ、手続きを進めてみてください。

参考資料

小西 雅美