5. 2027年3月期1Qに表れた収益構造

直近の四半期も見ておく。2027年3月期1Qの売上収益は3,674億円で前年同期比39.3%増、営業利益は1,899億円で同53.3%増、当期利益は1,747億円で同93.8%増だった。

営業利益率は51.7%。通期で50.9%だったテストシステム事業の水準を、連結ベースでも保っている格好だ。

会社の説明によると、AI関連の先端半導体の生産数量が増え、複雑化が進むなかで、顧客の積極的な設備投資が継続した。増収と売上ミックスの良化が、営業利益の伸びにつながったという。

当期利益の伸びが営業利益を上回っている点には注意がいる。短信では、戦略投資に関連する金融商品の評価益を主な要因として、金融収益約447億円を計上したとしている。本業の伸びと、投資の評価益による押し上げは、分けて見るべきものだ。

為替も追い風だった。1Qの平均為替レートは米ドルが159円で、前年同期の146円から円安方向に振れている。海外売上比率は99.1%。売上のほぼ全額が海外という構成だから、為替の効き方は大きい。

通期予想は、売上収益1兆7,140億円(前期比51.9%増)、営業利益8,460億円(同69.5%増)、当期利益6,600億円(同75.8%増)としている。予想どおりなら営業利益率は49.4%になる。

1Qの進捗は、営業利益で通期予想の22.5%。四半期を均等に置いた場合の25%をやや下回るが、会社が下期に厚みを見込んでいるのか、単に前提を保守的に置いているのかは、上期の数字を待つ必要がある。

いずれにせよ、通期計画の段階で5割近い営業利益率を置いていること自体が、この会社の収益構造の特異さを示している。

6. ROE57.6%という資本効率と、積み上がる自己資本

収益構造の話は、資本効率にもそのまま跳ね返っている。

2026年3月期のROE(自己資本利益率)は57.6%。電気機器の業種中央値7.7%と並べると、桁が違う。自己資本比率は67.9%で、こちらは中央値62.2%をやや上回る程度だ。

高い利益率と、それほど厚くない資本。この組み合わせがROEを押し上げている。もっとも、自己資本そのものは1年で5,065億円から7,957億円へ急増した。利益が積み上がる速さに、還元が追いついていないとも読める。

現金の流れを見ると、2026年3月期の営業CF(営業キャッシュフロー)は3,351億円。設備投資は343億円にとどまり、財務CFは▲2,305億円だった。稼いだ現金の多くが、投資ではなく財務側へ出ている。

配当は年59円、配当性向は11.5%。業種中央値の配当性向35.4%と比べると低い。手元現金は3,399億円ある。

一般には財務の余裕として好意的に受け止められやすいところだが、負債をほとんど使わない資本構成が効率の面で最適かどうかは、また別の論点だろう。利益の伸びが続くあいだROEは高く出る。だが分母が膨らみ続ければ、同じ水準を保つのは次第に難しくなる。

7. 筆者コメント

業種の中での立ち位置に照らすと、この会社は電気機器という括りの中でかなり浮いた存在にみえる。利益率も資本効率も、中央値の近くにはいない。

ただ、相対的な高さと、絶対的な持続性は別の話だ。

いま利益率が高いのは、AI向けの半導体テスタという特定の需要に対して、供給能力が追いついていない状態が続いているからだと考えられる。この均衡は永久には続かない。供給が整えば、価格も製品構成も変わる。

投資家として見ておきたいのは、需要が落ち着いたときに、この会社の利益率がどこまで戻るのかという水準だ。2024年3月期の主力セグメントの利益率は27.7%だった。そこが一つの目安になる。

決算を追うときは、売上の伸び率よりも、セグメント別の利益率と、会社が通期計画に置いている利益率の前提を並べて見ることをおすすめしたい。数字の勢いは、たいてい構成の変化から先に崩れる。

参考資料

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石津 大希