3. 「年金でさほど不自由なく暮らせる」は8~12%台。シニア世代の暮らし向き

分布で自分の位置を確かめたら、次に気になるのは、その金額で実際にどう暮らせているのかという点でしょう。J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」から、シニア世代の生活実態を見てみます。

家計の金融行動に関する世論調査 2025年3/3

家計の金融行動に関する世論調査 2025年

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO編集部作成

3.1 「年金でさほど不自由なく暮らせる」と答えた人は1割前後

60歳代・70歳代ともに、「年金でさほど不自由なく暮らせる」と回答した割合は、二人以上世帯・単身世帯を合わせても8~12%台にとどまっています。

3.2 単身世帯では、日常生活費の不足感がより強い

「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答した割合は、二人以上世帯では26~33%台でした。

これが単身世帯になると、60歳代で50.7%、70歳代でも35.5%にのぼります。支えるのが一人分の収入である分、不足感が強く出ていると読めます。

3.3 ゆとりがない理由として最も多いのは物価上昇

年金生活にゆとりがない理由として最も多かったのは、いずれの年代・世帯でも「物価上昇等」で、回答割合はどれも50%を超えています。

これに「医療費の自己負担増」や「年金支給額の切り下げ」が続きます。

多くのシニア世帯が物価高の影響を家計で実感しており、年金だけで余裕を持って暮らすのは難しい状況にあることがうかがえます。分布のどこにいるかとあわせて、支出の側も確かめておきたいところです。

4. まとめにかえて

今回は、男性の厚生年金の受給額を1万円刻みで確認してきました。

受給権者1067万9944人のうち、月額15万円以上は735万998人で約68.8%。平均年金月額は16万9967円で、男女全体の15万289円を上回ります。

分布の山は「18万円以上19万円未満」の95万5327人にあり、平均をやや上回る位置です。ここから上は徐々に細くなり、月額30万円以上は1万8801人にとどまります。

つまり、平均より少し上までは相当な人数がいるものの、そこから先は一気に少なくなる形です。高い金額を前提に計画を立てると、想定が外れる可能性があります。

あわせて見たJ-FLECの調査では、「年金でさほど不自由なく暮らせる」と答えた人は60歳代・70歳代とも8~12%台。「日常生活費程度もまかなうのが難しい」は単身世帯の60歳代で50.7%にのぼり、理由の1位はいずれも物価上昇でした。

徳田 椋
まずはご自身の見込額を確認して、この分布のどこに入るかをイメージしてみましょう。平均よりも上なのか下なのかで、これから必要な準備の量が変わってきます。老後の一カ月当たりの収入と支出のバランスを確認することで、毎月の不足額が見えてきます。お客様とのご相談でも、まずは現状を把握した上で対策を一緒に考えていきます。

不足を埋める手段としては、NISAやiDeCoといった税制優遇制度の活用、家計の見直し、就労期間を延ばして厚生年金の加入期間を伸ばすことなどが挙げられます。

まずはご自身の見込額を確かめるところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

徳田 椋