年金は「平均でいくら」と語られがちですが、実際に受け取る額は人によって大きく違います。厚生労働省年金局の集計では、厚生年金の平均年金月額は男女全体で15万289円、国民年金は5万9310円でした。この差がどこから生まれるのかを、公的年金の2階建ての仕組みから確認していきます。
後半では、厚生年金の受給額を1万円刻みの分布で見ていきます。平均が15万円台であるのに対して、「月額20万円(年間240万円)以上」を受け取っている人は全体の何%なのか。ご自身の見込み額と重ねながらご覧ください。
1. 公的年金は国民年金と厚生年金の「2階建て」
日本の公的年金は、1階部分の「国民年金(基礎年金)」と、2階部分の「厚生年金」からなる2階建ての仕組みです。どちらに加入していたかで、老後に受け取る年金の水準は変わります。
1.1 《1階部分》国民年金
国民年金は、原則として日本に住む20歳以上60歳未満の全員が加入します。職業や国籍は問いません。
- 年金保険料:全員一律
- 老後の受給額:40年間欠かさず納付すれば満額
- 被保険者:第1号~第3号に分かれる
国民年金保険料の月額は2026年度で1万7920円、老齢基礎年金の満額は月額7万608円です。第1号被保険者は農業者・自営業者・学生・無職の人など、第2号被保険者は厚生年金の加入者、第3号被保険者は第2号被保険者に扶養されている配偶者を指します。
1.2 《2階部分》厚生年金
厚生年金は、会社員や公務員、パート・アルバイトで特定適用事業所で働き一定要件を満たした方が、70歳未満の間、国民年金に上乗せで加入します。
- 年金保険料:収入に応じて決まり、給与からの天引きで納付
- 老後の受給額:加入期間や納めた保険料により個人差がある
- 被保険者:第1号~第4号に分かれる
保険料額は標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。被保険者の区分は、民間の事業所に使用される人が第1号、国家公務員共済組合の組合員が第2号、地方公務員共済組合の組合員が第3号、私立学校教職員共済制度の加入者が第4号です。
年金の支給日は原則として偶数月(2・4・6・8・10・12月)の15日です。15日が土日・祝日にあたる場合は、直前の平日へ前倒しされます。支給日には前月までの2カ月分がまとめて振り込まれ、たとえば8月は「6月・7月分」、2月は「12月・1月分」が支払われます。
加入する制度や期間は人によって違います。ご自身がどの区分にあたるかは、日本年金機構や年金事務所でご確認ください。
2. 厚生年金の平均は15万289円、国民年金は5万9310円
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金と国民年金の平均年金月額を確認します。
2.1 厚生年金の平均年金月額(国民年金部分を含む)
- 男女全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
※ここでは、会社員など民間の事業所で雇用されていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」の年金月額を紹介しています。
2.2 国民年金の平均年金月額
- 男女全体:5万9310円
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
国民年金は保険料が全員一律のため、老後の受給額に大きな個人差が生じにくい仕組みです。満額を受け取れた場合でも2026年度の月額は7万608円なので、国民年金だけで「月額20万円(年間240万円)以上」に届くことはありません。
一方、国民年金に上乗せされる厚生年金は、一般的に年金水準が高くなります。ただし保険料が現役時代の収入をもとに決まるため、受け取る額には個人差が出やすくなります。
