2. 毎月の住民税は12回、自分で納めるなら4回
退職金の住民税はその場で引かれて終わりますが、毎月の住民税は年をまたいで納め続けるものです。回数も納期限も、納め方によって変わります。
支払い回数と退職時の扱いは、LIMOの記事「なぜ住民税は6月に高くなるのか?「前年の所得増」による税額切り替えと「端数調整ルール」の仕組み」から要点を借りて確認します。
2.1 特別徴収は12回、普通徴収は4回
まず回数の違いです。
自治体の案内によると、会社の給与から天引きされる「特別徴収」の場合、年税額を6月から翌年5月までの12回に分けた税額が、毎月の給与から徴収されます。一方、自分で納付する「普通徴収」の場合は、年税額を4回に分け、1期(6月末)・2期(8月末)・3期(10月末)・4期(翌年1月末)の納期限で納付する仕組みです。
出所:LIMO「なぜ住民税は6月に高くなるのか?「前年の所得増」による税額切り替えと「端数調整ルール」の仕組み」
同記事は、住民税の支払い回数は特別徴収でも普通徴収でも同じはずと考えていると、実際には12回と4回で大きく異なることを見落としがちだと指摘しています。1回あたりの負担感も、この回数の違いによって変わります。
2.2 納期限も納め方で違う
いつまでに納めるかも別です。
同記事によると、特別徴収の納期限は翌月10日まで、普通徴収は各期の月末が納期限とされています。
うっかり納期限を過ぎてしまうと延滞金が発生する場合があるため、普通徴収の人は納付書が届いたら早めにスケジュールを確認しておくとよいとしています。
特別徴収は勤務先が毎月まとめて納めるため、本人が納期限を意識する場面はほとんどありません。退職して普通徴収に切り替わると、この管理が自分の側に移ります。
2.3 6月分だけ多いのは端数の調整
金額が月によって違うことがあります。
特別徴収を利用している会社員が見落としがちなのが、6月分の天引き額が他の月と異なるケースがある点です。年税額を12で割ると端数(100円未満)が生じることがあり、この端数を7月から翌年5月までの11回分には含めず、6月分にまとめて上乗せするルールが広く採られています。
出所:LIMO「なぜ住民税は6月に高くなるのか?「前年の所得増」による税額切り替えと「端数調整ルール」の仕組み」
同記事は、6月から住民税が急に増えたのは税率が引き上げられたからではないかと不安になっていると、実際には端数調整のために6月分だけ一時的に多くなっているだけということがあると述べています。7月以降の天引き額が落ち着けば、税率が変わったわけではないと判断できます。
ただし端数の扱いは市区町村ごとに細かなルールの違いがある場合があるとも書かれています。金額の変動が気になる場合は、勤務先の経理担当や住民税決定通知書の内訳を確認するのが確実です。
2.4 退職すると納め方が切り替わることがある
ここが退職金の話とつながります。
同記事によると、会社員として特別徴収されていた人が退職・転職すると、支払い方法が普通徴収に切り替わる場合があります。退職時期によっては、残りの税額が一括で徴収されるケースと、普通徴収に切り替わって自分で納付するケースがあります。
会社員をやめれば住民税の支払いも自動的になくなるはずと考えていると、実際には残りの税額の納付義務がなくなるわけではなく、支払い方法が変わるだけであることを見落としがちだという指摘です。
2.5 退職の時期で扱いが分かれる
分かれ目は月です。
同記事の整理では、1月から5月に退職した場合は、原則として残りの税額が一括で徴収される扱いが多いとされています。6月から12月に退職した場合は、本人の希望により一括徴収も可能で、希望しなければ普通徴収に切り替わります。
1月から5月は、その年度分の残りが数か月分しかないため、まとめて引く扱いが基本になります。退職金からその分も引かれることがあるので、手取りの見込みを立てるときは合わせて考える必要があります。
6月から12月の退職では、残っている月数が多くなります。一括で引くか、普通徴収に切り替えて自分で納めるかを選べるのは、この差があるためです。希望を出さなければ普通徴収になります。
転職先が決まっている場合は、転職先の給与から特別徴収を継続してもらう手続きができる場合があると同記事は述べています。空白期間を作りたくない場合は、退職前に勤務先の担当者に相談しておくとよいとしています。手続きをしなければ、いったん普通徴収に切り替わってから、あらためて特別徴収に戻す流れになります。
3. その場で完結する分と、あとに残る分を分けて数える
ここまで、退職金にかかる住民税と、毎月の住民税の納め方を見てきました。
退職金の側は、退職した年の1月1日の住所地の市町村が課税し、退職所得の金額は収入金額から退職所得控除額を引いた額に2分の1を乗じて出します。ここで千円未満を切り捨てて1000円単位にし、算出した特別徴収税額でさらに百円未満を切り捨てて100円単位にします。勤続年数が5年以内の法人役員等は2分の1を乗じる措置がありません。
毎月の側は、特別徴収が6月から翌年5月までの12回で納期限は翌月10日まで、普通徴収が4回で1期6月末・2期8月末・3期10月末・4期翌年1月末です。12で割った端数は6月分にまとめて上乗せされるため、6月だけ額が大きくなることがあります。
退職するときは、この2つが同じ月に重なります。退職金からその場で引かれる分と、前年の所得にかかる残りの税額をどう納めるかを、分けて確かめることになります。自分の税額の内訳や退職時の扱いは、勤務先の担当部署、またはお住まいの市区町村の税務担当窓口にご確認ください。
参考資料
- 総務省「平成25年1月1日以降の退職所得に対する住民税の特別徴収について」
- 総務省「地方税制度|個人住民税」
- LIMO「なぜ住民税は6月に高くなるのか?「前年の所得増」による税額切り替えと「端数調整ルール」の仕組み」
LIMO編集部社会保障解説班