公的年金の話題では、都道府県ごとの平均額が取り上げられることがあります。遺族年金でも、住んでいる地域によって受け取れる額が変わるのか気になるところです。
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を見ると、厚生年金の平均年金月額には都道府県で差があります。全国平均は15万1142円で、最も高い神奈川県と最も低い青森県では月4万2328円の開きがあります。
一方、遺族厚生年金の額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で計算します。この計算式に住所地は入りません。
この記事では、遺族基礎年金と遺族厚生年金の額の決まり方を確認したうえで、都道府県別の平均年金月額をどう読めばよいのかを確認します。
なお、公的年金の平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3、遺族基礎年金は年84.7万円が基本額
遺族年金は、国民年金からの遺族基礎年金と、厚生年金保険からの遺族厚生年金に分かれます。額の決まり方はそれぞれ違います。
1.1 遺族基礎年金は子のある配偶者か子が受け取る
遺族基礎年金を受け取れるのは、亡くなった方に生計を維持されていた子のある配偶者または子です。
日本年金機構によると、令和8年4月分からの額は年84万7300円に子の加算額を足した額となります。昭和31年4月1日以前生まれの方は年84万4900円です。
子の加算額は1人目と2人目がそれぞれ年24万3800円、3人目以降がそれぞれ年8万1300円です。こちらは全国どこでも同じ額です。
1.2 遺族厚生年金は亡くなった方の報酬比例部分の4分の3
遺族厚生年金の額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
報酬比例部分は、平均標準報酬額と厚生年金保険の加入月数から計算します。つまり、額を左右するのは亡くなった方の現役時代の記録です。
2. 遺族厚生年金の額に、住んでいる都道府県は関係しない
遺族厚生年金の計算式を分解すると、地域という要素がどこにも出てこないことが分かります。
2.1 額を決めるのは平均標準報酬額と加入月数
遺族厚生年金の額を決めるのは、亡くなった方の平均標準報酬額、厚生年金保険の加入月数、そして報酬比例部分の4分の3という割合の3つです。
受け取る側が引っ越しても、この計算式は変わりません。同じ都道府県に住んでいても、亡くなった方の加入記録が違えば額は変わります。
2.2 老齢厚生年金の平均年金月額には都道府県で月4万2328円の差がある
では、都道府県別に差が出ている統計は何を示しているのでしょうか。
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の都道府県別表にある平均年金月額は、老齢年金を受け取っている方の数値です。全国平均は15万1142円で、老齢基礎年金を含んだ額です。
上位は神奈川県の17万457円、千葉県の16万5103円、東京都の16万3892円と続きます。下位は青森県の12万8129円、沖縄県の12万8819円、宮崎県の12万9224円です。
この差が何によるものかについては、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認しておきましょう。
将来の年金がいくらになるかは、現役時代の平均年収と厚生年金の加入年数によって大きく変わります。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
都道府県別の差も、受け取る本人の現役時代の報酬と加入期間の違いが集まった結果です。住所地によって年金額の決め方が変わるわけではありません。
ライフプランを組み立てるときは、平均額よりもご家庭ごとの記録を先に確かめるようにしています。
遺族厚生年金は亡くなった方の記録で決まるため、公表されている平均とは離れた額になることも珍しくありません。

