3. 300月とみなして計算すると、遺族厚生年金の額はどう変わるか
300月みなしがあると額がどのくらい変わるのか、概算で確かめてみます。
報酬比例部分は、平均標準報酬額に1000分の5.481を掛け、さらに加入月数を掛けて求めます。ここでは平成15年4月以降の期間だけで加入していたと仮定します。
3.1 平均標準報酬額30万円・加入120月のケース
平均標準報酬額が30万円、厚生年金保険の加入月数が120月だった場合、報酬比例部分は年19万7316円です。
遺族厚生年金はこの4分の3ですから、年14万7987円、月に直すとおよそ1万2332円となります。
3.2 同じ条件で300月とみなした場合
同じ平均標準報酬額30万円で、加入月数を300月とみなすと、報酬比例部分は年49万3290円になります。
遺族厚生年金はその4分の3で年36万9968円、月にするとおよそ3万831円です。月あたりの差は1万8000円ほどになります。
なお、この計算は平成15年3月以前の加入期間や、賞与の有無を考慮していない概算です。実際の額は加入記録によって変わります。
4. 遺族年金を受け取るための「保険料の納付要件」とは
短期要件のうち、在職中の死亡と初診日から5年以内の死亡の2つには、保険料の納付要件が設けられています。
4.1 国民年金の加入期間の3分の2以上が納付済みであること
日本年金機構は、亡くなった日の前日において、保険料納付済期間が国民年金加入期間の3分の2以上あることを要件としています。保険料免除期間も納付済期間に含めて数えます。
この割合を満たしていない場合でも、直ちに対象外になるわけではありません。
4.2 令和18年3月末までは直近1年間で判断する特例がある
亡くなった日が令和18年3月末日までで、亡くなった方が65歳未満であれば、亡くなった日の前日において直近1年間に保険料の未納がなければよいとされています。
3分の2の要件を満たせない場合でも、この特例で対象になることがあります。納付の記録がはっきりしないときは、自己判断で諦めずに年金事務所へ相談するのが確実です。
5. まとめ
遺族厚生年金は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で計算します。厚生年金保険の加入期間が短いほど額は小さくなるのが原則です。
ただし、在職中の死亡など短期要件にあてはまる場合は、被保険者期間が300月に満たなくても300月とみなして計算します。長期要件の場合は実際の被保険者期間で計算します。
どちらの要件にあたるか、保険料の納付要件を満たしているかは、加入記録を確認しないと判断できません。手元の書類だけで決めずに、年金事務所や街角の年金相談センターで確かめておくと、手続きの見通しが立てやすくなります。
参考資料
村岸 理美