5. 申請の前に押さえておきたい注意点が3つある

傷病手当金は、退職後の扱いや他の給付との関係に注意が必要です。押さえておきたい点を整理します。

5.1 任意継続被保険者の期間中に始まった病気やケガは対象にならない

協会けんぽは、任意継続被保険者である期間中に発生した病気やケガについては、傷病手当金が支給されないとしています。

退職後に任意継続被保険者になった場合、その後に発症した病気で働けなくなっても対象外です。ただし、在職中から受けていた傷病手当金については、退職日までに被保険者期間が「継続して1年以上」あり、退職日に実際に受給しているか受給できる状態にある等の要件を満たしていれば、退職後も継続して受けられる場合があります。

5.2 待期は連続していないと完成しない

待期の3日間は、連続していることが条件です。

体調を見ながら1日おきに出勤するような働き方をしていると、いつまでも待期が完成せず、支給が始まりません。医師と相談して、まとまった期間の休養が必要であればその判断を優先することになります。

5.3 障害年金や出産手当金との調整がある

同じ病気やケガで障害厚生年金を受けている場合や、出産手当金を受けられる場合には、支給額の調整が行われます。両方を満額で受け取れるわけではないため、複数の給付に該当しそうなときは、加入している健康保険の窓口で確認しておきましょう。なお、これらの併給調整や給与支払いにより傷病手当金が「全額不支給」となった期間については、通算1年6か月の支給枠は減少せず、繰り越して温存されます。

6. 休む前に、固定費の見直しを始めておきたい

家計の相談では、休職に入ってから家計の見直しを始めて間に合わなかったというケースを見かけます。

傷病手当金は標準報酬月額の3分の2が基準です。加えて、休職中も社会保険料の負担は続きます。手取りで比べると、収入は半分近くまで下がることも珍しくありません。

住居費や通信費、保険料といった固定費は、見直しの効果が翌月から続きます。診断を受けて休職の可能性が見えた段階で着手しておくと、支給が始まるまでの期間を乗り切りやすくなります。

7. まとめにかえて

傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けなくなり、給与が受けられないときに健康保険から支給される給付金です。

1日あたりの額は、支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均を30で割り、3分の2を掛けた額です。最初の連続した3日間は待期となり、支給期間は支給開始日から通算して1年6か月となります。

制度に頼りきりにするのではなく、収入が減ったときに耐えられるだけの預貯金を平時から準備しておくことが欠かせません。そのうえで、この給付があることを知っておくと、療養に専念する判断がしやすくなります。

参考資料

和田 直子