病気やケガで働けなくなったとき、いちばん不安になるのは治療そのものよりも、その間の収入が途切れることかもしれません。
全国健康保険協会(協会けんぽ)は、業務外の病気やケガで仕事を休んだときに支給される傷病手当金を案内しています。1日あたりの額は標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2で、支給期間は通算1年6か月です。
本記事では、傷病手当金の支給要件と、1日あたりいくら受け取れるのか、そして支給される期間について解説していきます。
1. そもそも「傷病手当金」とは?休んでいる間の収入を支える健康保険の給付
傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気やケガで働けなくなり、給与が受けられないときに支給される給付金です。
制度の骨格は次の4点です。
- 業務外の病気やケガで働けない期間について支給される
- 最初の連続した3日間は待期となり、4日目以降が支給の対象になる
- 1日あたりの額は、標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2
- 支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月
業務上や通勤途中のケガは労災保険の対象になるため、傷病手当金の対象にはなりません。
2. 支給されるのはどんなときか。要件は4つに分かれる
協会けんぽの案内より、傷病手当金の支給要件を確認しましょう。次の4つをすべて満たすことが必要です。
2.1 業務外の事由による病気やケガで療養している
1つめは、業務外の病気やケガであることです。労災保険の対象になるものや、美容整形のように病気とみなされないものは除かれます。
2.2 仕事に就くことができない状態である
2つめは、働けない状態であることです。この判定は、療養担当者の意見と本人の職務内容をもとに行われます。
2.3 連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいる
3つめは休業の要件です。最初の連続した3日間は待期となり、支給の対象になるのは4日目以降です。
この待期の3日間には、有給休暇や土日・祝日も含まれます。ただし、2日休んで出勤し、また休むというように連続しない場合は、待期が完成しません。
2.4 休んだ期間について給与の支払いがない
4つめは給与の要件です。休んだ期間に給与が支払われている場合は支給されません。ただし、支払われた給与の日額が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。
3. いくら受け取れるか。標準報酬月額で決まる
1日あたりの額は、支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均額を30で割り、3分の2を掛けて計算します。次の画像では、標準報酬月額別にみた傷病手当金の1日あたりの額を解説します。
標準報酬月額の平均が30万円であれば、1日あたりの額は6667円です。30日分に換算すると20万10円が目安になります。
手取りの給与と比べると差が出るため、休業が長引くほど家計の見直しが必要になります。
4. 支給される期間は通算して1年6か月
傷病手当金が支給されるのは、支給開始日から通算して1年6か月です。
かつては支給開始日から起算して1年6か月という数え方でしたが、現在は通算して数える仕組みになっています。途中で職場に復帰して給与を受けた期間があれば、その期間は1年6か月に算入されません。
治療を続けながら働き、また休むという場合でも、支給できる日数が実質的に確保される形になっています。
家計の相談をお受けしてきた経験からお伝えすると、傷病手当金でつまずきやすいのは、支給までに時間がかかる点です。
申請には事業主の証明と療養担当者の意見が必要で、申請から振込までに1か月以上かかることも珍しくありません。休み始めてから最初の入金まで、生活費をどうつなぐかを先に決めておく必要があります。生活費の3か月から6か月分を預貯金として置いておくことが、こうした場面で効いてきます。
