遺族厚生年金は、いくら受け取れるのでしょうか。亡くなった方の厚生年金保険の加入期間が短かった場合、その分だけ少なくなってしまうのかどうかは、気になるところです。
日本年金機構は、遺族厚生年金の年金額を「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と説明しています。あわせて、受給要件の1から3にもとづく場合は、厚生年金の被保険者期間が300月未満のときに300月とみなして計算するとしています。
この記事では、この300月みなしがどの要件で適用されるのかを、短期要件と長期要件の違いとあわせて確認します。
1. 遺族厚生年金の額は老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3になる
遺族厚生年金の額は、亡くなった方が受け取るはずだった老齢厚生年金をもとに決まります。
その基礎になるのが報酬比例部分です。
1.1 報酬比例部分は3つの厚生年金給付に共通する計算の基礎
日本年金機構は報酬比例部分について、老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金のいずれの給付においても年金額の計算の基礎となるものだと説明しています。
年金の加入期間や過去の報酬等に応じて決まる部分です。
1.2 報酬比例部分は平成15年3月以前と平成15年4月以降に分けて計算する
報酬比例部分は、平成15年3月以前の加入期間と平成15年4月以降の加入期間を、それぞれ別に計算して足し合わせます。
平成15年3月以前は平均標準報酬月額、平成15年4月以降は平均標準報酬額を使います。過去の標準報酬月額と標準賞与額には、最近の賃金水準や物価水準で再評価するための再評価率を乗じます。
2. 短期要件にあたる死亡なら、被保険者期間が300月未満でも300月として計算する
遺族厚生年金には4つの受給要件があり、そのうち1から3にあたるものを短期要件と呼びます。
300月みなしは、この短期要件にあたる場合の取り扱いです。
2.1 短期要件にあたるのは4つの受給要件のうち1から3
1は厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき、2は厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したときです。
3は1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したときとされています。
2.2 加入が120月でも300月として計算されるため額は2.5倍になる
たとえば厚生年金保険の被保険者期間が120月(10年)だった方が短期要件にあたる死亡をした場合、報酬比例部分の計算では300月として扱われます。
月数だけを見れば300月は120月の2.5倍です。加入期間が短いまま亡くなった場合でも、報酬比例部分が実際の月数のままにならないしくみになっています。
3. 長期要件にあたる死亡は、実際の被保険者期間で計算する
4つ目の受給要件は、短期要件とは扱いが分かれます。
こちらは長期要件と呼ばれます。
3.1 要件4は合算した期間が25年以上ある方に限られる
4は、老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したときです。
日本年金機構は、この要件について、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間ならびに65歳以降の厚生年金保険の被保険者期間を合算した期間が25年以上ある方に限ると説明しています。
3.2 長期要件では300月みなしは適用されない
300月みなしが示されているのは、受給要件の1、2および3にもとづく遺族厚生年金の場合です。
長期要件にあたる4の場合は、実際の被保険者期間にもとづいて報酬比例部分が計算されます。
同じ遺族厚生年金でも、どの要件にあたるかで計算の前提が変わります。請求の相談に行くときは、亡くなった方の在職状況と初診日がわかる資料をそろえておくと、話が早く進みます。
