厚生労働省は2026年1月23日、令和8年度(2026年度)の年金額改定方針を発表し、公的年金額とともに「年金生活者支援給付金」の支給額を前年度から3.2%引き上げと決定しました。

ファイナンシャルプランナー(FP)として多くの方の老後資金のご相談をお受けするなかで、「今の年金額だけで将来の暮らしを維持できるだろうか」という不安の声を数多く伺います。私自身もシニア世代の家族を支える立場として、公的な支援制度の情報を正しく把握し、受け取れる権利をしっかりと活用することの重要性を日々実感しています。

今回は、年金生活者支援給付金について、対象となる世帯条件や所得要件、申請はがきの書き方や2年目以降の注意点まで、初心者向けに分かりやすく解説します。

1. 国民年金と厚生年金、平均額「月5万円〜15万円台」年金受給額のリアルな個人差

年金生活者支援給付金について知る前に、まずは土台となる公的年金の給付水準について確認しておきましょう。年金の受給額には、現役時代の働き方や制度への加入期間によって大きな個人差が存在します。厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、老後に受け取る年金額を見てみましょう。

令和6年度末時点の平均年金月額は、次のとおりです。

  • 厚生年金保険(第1号)の老齢年金:15万1142円
  • 国民年金の老齢年金:5万9431円

単純に比較すると、その差は月額9万1711円です。ただし、厚生年金の15万1142円には、老齢基礎年金の月額も含まれています。また、資料に掲載されている「国民年金」の平均額は、「国民年金だけを受け取っている人」だけの平均ではありません。

会社員として働いた期間があり、老齢基礎年金に厚生年金などを上乗せして受け取っている人も含まれているため、5万9431円を「国民年金だけの平均受給額」と捉えないよう注意しましょう。実際の年金額は加入期間や現役時代の働き方などによって異なるため、平均額は一つの目安として見ておきましょう。

もし、年金とその他の所得を含めても一定基準以下となる場合には、「年金生活者支援給付金」を受け取れる可能性があります。

2. 年金生活者支援給付金「2カ月に一度」年金に上乗せされる年金生活者支援給付金

「年金生活者支援給付金」は、年金収入やその他の所得額が一定基準額以下の年金生活者の暮らしを支えることを目的として、2カ月に一度、年金に上乗せして支給されるお金です。

年金生活者支援給付金は3種類1/5

年金生活者支援給付金の3種類と対象となる年金、金額の決まり方をまとめた表

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」をもとにLIMO編集部作成

2019年に始まった比較的新しい制度で、以下3種類の給付金ごとに、給付額や支給要件が設けられています。

  • 老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

3. 年金生活者支援給付金、2026年度は3.2%増額!

年金生活者支援給付金は、物価変動率を踏まえて年度ごとに見直しがおこなわれます。

2026年度(4月分より)の給付金額は、前年度から+3.2%の増額となりました。

3.1 【2025年度→2026年度】年金生活者支援給付金の支給金額

年金生活者支援給付金の支給金額(月額)2/5

年金生活者支援給付金の支給金額を2025年度と2026年度で比較した表

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

3.2 2026年度「年金生活者支援給付金」の給付額

  • 老齢年金生活者支援給付金の基準額(月額):5620円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級7025円・2級5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円

老齢年金生活者支援給付金については、上記の基準額をもとに、保険料納付済期間等に応じて実際の給付額が計算されます。

なお、上記はいずれも「月額」です。給付金は偶数月の支給日に、2カ月分がまとめて年金と同じ口座へ、年金とは別に振り込まれます。上記の給付額通りを受け取れる場合、1回の支給で約1万1000円、年額にすると約6万7000円となります。

なお「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2025年3月における平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金4146円、障害年金生活者支援給付金5727円、遺族年金生活者支援給付金5228円でした。

※2025年3月において認定されている平均給付金額です。給付基準額が月5310円だった令和6年度に支給されていた金額のため、2026年度の5620円とは基準が異なります。