もうすぐ敬老の日(9月21日)。人生の節目を迎えるにあたり、ご自身のこれからの暮らしや、毎日無償の愛をくれるペットとの将来について、あらためて思いを巡らせる方も多いのではないでしょうか。
シニア世代にとって、そっと寄り添ってくれるペットは、何にも代えがたい心の支えです。だからこそ、「もしもの時」を考えるのは辛く、つい後回しにしてしまうかもしれません。しかし、安心して最後まで一緒に暮らすために見落とせないのが、ペットを温かく見送るための「供養費」です。
ペット火葬の費用相場を「具体的な金額まで知っている」と答えた人はわずか7.2%。半数を超える52.0%が「相場が分からず不安」と回答しています(NEXER・ジャパン動物メモリアル社調べ)。一方で、年金を中心にやりくりするシニア世代の家計は、もともと収入と支出のバランスが厳しい状態にあります。
本記事では、大好きなペットに「ありがとう」を伝えるための供養方法(個別火葬・合祀火葬)ごとの費用感や年金家計の実態、そして、いざという時に慌てず心を込めてお見送りをするために、今からできる備え方を整理します。
1. ペットの供養、個別火葬と合祀(合同)火葬の費用差はどれくらい?
ペットの火葬には、大きく分けて2つの方法があります。
ひとつは、他のペットと分けて火葬し、遺骨を返してもらえる「個別火葬」。もうひとつは、複数のペットをまとめて火葬し、遺骨は基本的に返してもらえない「合祀(合同)火葬」です。個別火葬の中でも、飼い主が火葬に立ち会えるかどうかでさらに料金が分かれます。
- ペット火葬の費用相場を「具体的な金額まで知っている」:7.2%
- 相場が分からないことに「不安を感じる」:52.0%
- 「費用を抑えることを重視する」:64.0%
- 費用は「1万円~3万円未満」だと思う:42.0%(※実際の料金ではなく、あくまで回答者の推測値)
では、実際の相場はどの程度でしょうか。複数のペット葬儀比較サイトの料金情報を突き合わせると、体重2~5kg程度の猫や小型犬の場合、おおむね次のような目安になります(事業者や地域による差が大きいため、あくまで参考レンジです)。
- 合祀(合同)火葬:1万6000円~2万2000円程度
- 個別火葬(一任):2万円~3万円程度
- 立会い個別火葬:2万2000円~3万5000円程度
- これとは別に、棺・骨壺・お花などのオプションで1万円~2万円程度が加算されることもある
先ほどの調査で最も多かった「1万円~3万円未満」という推測は、実は基本料金の相場とそれほど大きくはズレていません。
本当に見落とされやすいのは、棺・骨壺・お花などのオプション費用です。基本料金に1万円~2万円程度が上乗せされることが多く、これを事前に想定していないと、当初思い描いていた金額を大きく超えてしまうことがあります。同じ体格のペットでも、合祀と立会い個別火葬(オプション込み)とでは、費用が2倍近くまで開くこともあります。
2. 年金だけの家計に、この出費はどれだけ重いのか
この供養費を、年金だけで暮らす家計に当てはめて考えてみましょう。
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和6年度末)によると、老齢年金の平均月額は次のとおりです。
- 厚生年金(老齢厚生年金)平均月額:全体15万1142円/男性16万9967円/女性11万1413円
- 国民年金(老齢基礎年金)平均月額:全体5万9431円/男性6万1595円/女性5万7582円
厚生年金の平均月額は男女で約5万8000円の差があり、国民年金のみを受給する場合は男女とも月6万円に届きません。
2.1 高齢無職世帯の実収支は?
総務省「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均」によると、65歳以上の無職世帯の実収入・消費支出は次のとおりです。
- 高齢夫婦無職世帯(65歳以上夫婦のみ・無職):実収入25万4395円/消費支出26万3979円
- 高齢単身無職世帯(65歳以上単身・無職):実収入13万1456円/消費支出14万8445円
単純に差し引くと、夫婦無職世帯で月約9600円、単身無職世帯で月約1万7000円、消費支出が実収入を上回る計算になります。
もともと毎月の収支に余裕がない中で、数万円単位の供養費が急に発生すれば、その月の家計への影響は小さくありません。
たとえば、国民年金のみを受給する単身の方(平均月額5万9431円)が高齢単身無職世帯の平均的な支出水準(14万8445円)で暮らしている場合、年金以外の収入や貯蓄の取り崩しで月8万9000円以上を補っている計算になります。
ここに合祀火葬でも1万6000円程度、個別火葬であれば2万円台後半~3万円台の費用が重なれば、その月はさらに家計が厳しくなることが想像できます。
3. 筆者からのコメント
大切な家族を見送る深い悲しみの中で、不透明な料金や心ない対応に傷つくことは絶対に避けたいものです。実は、ペットの火葬・葬儀を行う事業者には、開業にあたっての法的な許可や資格制度がありません。
つまり、誰でも参入できる業種であるがゆえに、料金設定やご家族への寄り添い方に、事業者ごとの差が大きく出やすいという課題があります。「近所だから」「検索して最初に出てきたから」と慌てて決めてしまうと、後になって「もっと温かいお見送りができたのでは」と後悔してしまうケースも考えられます。
ペットが元気で、飼い主さんの心に余裕がある今のうちに、「うちの子にぴったりの、安心できるお見送りの場所」をいくつか探して料金体系を確認しておく。それだけでも、将来への漠然とした不安が和らぎ、今目の前にいるペットとの時間をより穏やかに過ごせるはずです。
