頻繁に用いられる具体例で見てみましょう。

カルビー社の人気商品の1つにプロ野球チップスがあります。これは昔の仮面ライダースナックと同じで、人気プロ野球選手のカードが、何と2枚も付いているポテトチップスです。このプロ野球チップスは、価格に占める食品(チップス)の割合が3分の2未満ということで、軽減税率は適用されません。10%です。

一方、ロッテ社のロングセラー商品の1つにビックリマンチョコがあります。これはビックリマンシールなどの付録が付いているチョコレート菓子ですが、1990年代には大きな社会ブームにもなりました。

その大ブームは終わったものの、現在でもビックリマンシールの人気は高く、ネットオークションでは思わぬ高値が付くことも珍しくありません。しかし、このビックリマンチョコは、価格に占める食品(チョコ菓子)の割合が3分の2以上ということで、軽減税率適用となっています。

これらの価格割合は「合理的な方法により計算」されたとなっていますが、なぜ?という疑問は尽きません。しかし、付録(おもちゃ)は違えども、同じようなおもちゃ付き菓子でも消費税が2%異なるのです。1回きりの購入ならともかく、この先頻繁に購入するのであれば、その差額は積もり積もって決してバカにできない額となるでしょう。

菓子が入った容器が「資産」と見なされれば軽減税率の適用除外に

この他にも、“えっ!?”と驚くような理由で軽減税率適用から除外されるお菓子があります。

たとえば、チーリン製菓の販売するカラーペンチョコは、容器にペン先が付いて書くことが可能という理由で、「資産」に該当するため標準税率(10%)となります。他方、同社のステッキチョコに関しては、容器を杖としては使用不可能(当然ですね)ということで軽減税率適用が認められました。また、プチラムネは、容器に(幼少児向け)笛が付いているという理由で、「資産」に該当するため標準税率(10%)となります。

正直、呆れて開いた口が塞がらない…という感じですが、逆に、子供向け菓子に対して、ここまで厳密に定義した国税庁の調査力も称賛に値するのかもしれません。

子供はこの複雑な軽減税率制度を理解できる?

いかがでしょうか。正直、大人にはあまり関係ないことかもしれません。しかし、もし、子供が決して多くはないお小遣いの中でやり繰りしているとすれば、相応に影響が出ても不思議ではないでしょう。子供たちが軽減税率制度を理解するのは難しいでしょうから、親御さんが一度説明してあげるのも必要かもしれません。

もっとも、説明したとしても理解されない可能性は高いと思われますが…。

葛西 裕一