消費税でなく相続税を増税すべき理由。”おひとりさま”の遺産には高率の課税を

被相続人としても、配偶者や子に相続させるために財産を遺す人は多いでしょうが、兄弟姉妹のために財産を遺す人は例外的でしょう。そうした人は、生前贈与などを活用していただくことにしましょう。

今ひとつは、公平の観点です。子のいない高齢者が生前に受け取っていた公的年金は、他人の子が払った年金保険料が原資となっています。公的年金は賦課方式なので、子の世代が親の世代を支える仕組みになっているからです。

そうであれば、高齢者が使い遺した分は、国に返して次世代の人々のために使ってもらうべきでしょう。兄弟姉妹に相続させるのは筋が通りません。

上記を総合的に考えれば、兄弟姉妹が相続する分の相続税率は高くて構わないでしょう。100%でも構わないと筆者は考えています。もっとも、相続人が財産目録の作成などに協力するインセンティブが必要ですから、少しは相続人の取り分も残しておくことが実務上は有効なのかもしれませんが。

数十年で巨額の税収に

最近は、結婚しない人が増えていますし、結婚しても子供のいない夫婦も増えています。そうした人が他界する時に、遺産が国庫に入るとすれば、今後数十年の間には巨額の相続税が国庫に入ることでしょう。

仮に家計金融資産1800兆円の1%が毎年国庫に入るとすると、概ね消費税と同額になりますから、消費税を廃止しても代替財源として十分でしょう。もちろん、消費税を廃止せずに相続税を増税して財政を再建する、という選択肢も景気動向等々によっては可能でしょうが。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義

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塚崎 公義

1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行
おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ。
現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と関係なく個人として行なっているため、現職は経済評論家と表記したものである。
(近著)
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(雑誌寄稿等)
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