8月末の株主優待・配当の権利付き最終日を通過し、個人投資家の関心は次に9月末を基準日とする銘柄へと移りつつあります。
森永乳業<2264>もその一つで、株価は31日、日経平均が前日比93円安と小幅に軟調な地合いのなか、1,145円(前日比▲4.5円、▲0.39%)と4日続落で取引を終えました。
同社は7日に2027年3月期第1四半期決算を発表したほか、25日には株主優待制度の拡充も発表しました。
今回は、最新決算から森永乳業の"稼ぎ頭"となっている事業をひも解くとともに、9月30日の権利確定が近づく株主優待の内容を解説します。
- 2027年3月期第1四半期は増収増益も、純利益は特別利益の反動で3.4%減
- 海外の乳素材事業がけん引し通期の営業利益・経常利益・純利益予想を上方修正
- 9月30日を基準日とする株主優待の拡充内容と、継続保有要件・長期保有優遇の新設
1. 最新決算からひも解く企業の強み
2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)の連結決算は次の内容でした。
- 売上高:1,470億9,900万円(前年同期比2.4%増)
- 営業利益:99億7,700万円(同12.9%増)
- 経常利益:106億700万円(同11.3%増)
- 純利益:66億7,800万円(同3.4%減)
営業利益・経常利益は増加した一方、純利益だけ減少しています。この背景として、前年同期は退職給付制度の終了益22億1,500万円を含む特別利益22億3,500万円を計上していましたが、当期の特別利益は事業譲渡益7億円を中心に8億8,300万円にとどまりました。
この差が純利益減少の主因で、営業利益・経常利益ベースの収益力は伸びています。
通期の連結業績予想も上方修正されました。売上高5,800億円(前期比1.5%増)は据え置きで、営業利益は期初計画(5月13日公表)の320億円から340億円へ、経常利益は327億円から350億円へ、純利益は200億円から210億円へ引き上げています。
前期実績(純利益225億9,900万円)との比較では営業利益▲1.4%・経常利益▲5.7%・純利益▲7.1%と、通期では減益の見通しです。
ただし、修正後の営業利益予想340億円に対する第1四半期の進捗率は29.3%で、四半期等分ペースの25%を上回っています。
配当予想は中間12円・期末13円の年間25円で修正はありません。
2. 本当の"稼ぎ頭"はどこか、海外の乳素材事業に迫る
森永乳業は事業を「成長分野」(ヨーグルト・アイス・菌体、海外の育児用ミルクなど)、「基幹分野」(ビバレッジ・チーズ・栄養食品・機能性素材、海外の乳素材など)、「育成・その他分野」(健康食品、ベトナム事業など)に区分しており、第1四半期は基幹分野が売上高910億8,500万円(前年同期比1.0%増)で全体の約62%を占めています。
もっとも、この区分は国内・海外にまたがるため、利益を押し上げている場所を見るには国内・海外別の数字が必要です。
- 国内事業:売上高1,225億8,700万円(前年同期比1.2%減)、営業利益は前年同期比11億5,100万円減(約19.4%減)
- 海外事業:売上高245億1,200万円(同25.4%増)、営業利益は前年同期比22億9,300万円増(約78.8%増)
売上高の8割超を占める国内事業が減収減益となる一方、売上高では2割弱にすぎない海外事業が営業利益を約8割伸ばし、連結全体の増益を支えた形です。
国内事業の減益については、価格改定やプロダクトミックス改善による増益効果を、原材料コストやオペレーションコスト・償却費負担の増加が上回ったためと説明しています。牛乳・アイスの販売数量減少も響きました。
海外事業の中心はドイツの連結子会社MILEI GmbH(ミライ社)の乳素材(ホエイプロテインなど)事業です。ホエイプロテイン市況の上昇を背景に販売単価が上がったことで増収増益になったとしています。
なお、MILEI社の売上高は円換算で前年同期比24%増、現地通貨(ユーロ)ベースでは10%増です。この差は、期中平均レートが1ユーロ=165.3円(前年同期)から186.9円へ約13%円安に動いた換算効果によるものとみられ、市況上昇に加えて為替の押し上げも含まれています。国内では「マウントレーニア カフェラッテ」などビバレッジやヨーグルトが増収に寄与しましたが、牛乳の販売減少がこれを打ち消しました。