年金からも所得税が引かれています。令和8年度の税制改正で、その引かれ方が変わりました。
日本年金機構によると、所得税の基礎控除の引上げにともない、公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額が、現行の205万円未満から214万円未満に引き上げられました。65歳未満の方は155万円未満から164万円未満への引上げです。
この記事では、いつ何が変わるのかを確認していきましょう。
- 源泉徴収の対象とならない年金額が214万円未満に引き上げられた(65歳未満は164万円未満)
- 令和8年11月までは改正前の控除額で源泉徴収し、12月の支払い時に精算される
- 令和8年10月から、住民税の控除のための扶養親族等申告書が新たに届く方がいる
1. 源泉徴収されない年金額の線が上がった
まず、何が変わったのかを確認します。
1.1 65歳以上は214万円未満に
令和8年度税制改正により、所得税の基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正が行われました。所得税法等の一部を改正する法律にもとづくものです。
このうち公的年金に関わる部分として、源泉徴収の対象とならない年金額が、65歳以上で205万円未満から214万円未満へ、65歳未満で155万円未満から164万円未満へ引き上げられました。この線の上と下で、年金から所得税が引かれるかどうかが分かれます。
1.2 基礎的控除額の計算式
令和8年分の公的年金における源泉徴収額の計算に用いる基礎的控除額も示されています。65歳以上で年金額242万円以下の場合、令和8年12月の精算時は公的年金等の月割額に25%を掛けて11万円を足した額で、これが18万円未満となる場合は18万円です。
各月の年金支払時は、月割額に25%を掛けて10万5000円を足した額で、17万5000円未満となる場合は17万5000円とされています。精算時と各月とで、使う数字が違います。
2. 12月の年金支払い時に精算される
いつ反映されるのかが独特です。
2.1 11月までは改正前の控除額で引かれる
日本年金機構は、令和8年分の所得税について、令和8年11月の年金支払いまでは改正前の基礎的控除額を用いて源泉徴収を行うとしています。
つまり、改正はすでに行われていても、毎回の年金から引かれる額は年内はしばらく変わりません。8月や10月の振込額を見ても、改正の効果はまだ表れていないことになります。
2.2 12月に1年分をまとめて計算し直す
令和8年12月の年金支払い時に、改正後の所定の基礎的控除額を用いて計算した1年分の税額と、すでに源泉徴収した税額との精算が行われます。
日本年金機構は、この精算により還付すべき金額が生じる場合には、原則としてその金額を還付するとしています。12月の振込額が普段と違う場合、この精算が理由であることが考えられます。
3. 10月から届く扶養親族等申告書
もう1つの変更は書類の側です。
3.1 住民税の控除にも申告書が必要になった
令和8年度税制改正により、これまでの所得税の源泉徴収の対象となる方に加え、年金受給者が個人住民税の各種控除を受けようとする場合も、日本年金機構へ扶養親族等申告書を提出することとされました。
これにともない、個人住民税の課税対象となり得る金額以上の年金額である方へ、令和9年分の扶養親族等申告書が送られます。日本年金機構は、65歳以上の場合は年金額148万円以上、65歳未満の場合は98万円以上の方に対して、令和8年10月より順次送付するとしています。
これまで申告書が届かなかった方にも10月から届くようになります。見慣れない書類だからと置いたままにすると、受けられる控除を逃すことになります。
