70歳まで働き続ける方が増えています。70歳を境に、厚生年金保険の扱いは大きく変わります。
日本年金機構によると、70歳以上の方は厚生年金保険の被保険者ではなくなるため保険料の負担がありません。ただし平成19年4月以降に70歳に達した方が厚生年金適用事業所に勤務している場合は、被保険者ではなくても在職による支給停止が行われます。
この記事では、70歳を過ぎて働くときの年金の扱いを見ていきましょう。
- 70歳で被保険者ではなくなるため、厚生年金保険料の負担はなくなる
- それでも給与と年金の合計額によっては支給停止が行われる
- 受給資格を満たしていない場合は、高齢任意加入という道がある
1. 保険料の負担はなくなる
まず、70歳で何が変わるのかを確認します。
1.1 被保険者ではなくなる
日本年金機構は、70歳以上の方については厚生年金保険の被保険者ではないため保険料の負担はないとしています。
給与から厚生年金保険料が引かれなくなるため、同じ給与でも手取りは増えます。70歳を過ぎて働き続ける場合、ここが最初の変化になります。
1.2 事業主が届出をする
厚生年金保険に加入する従業員が在職中に70歳に到達し、それ以降も引き続き同一の事業所に使用される場合は、厚生年金保険被保険者資格喪失届と70歳以上被用者該当届を提出することになっています。
この届出は事業主が行うものです。本人の手続きではありませんが、これによって70歳以上被用者として記録が残ります。
2. 在職による支給停止は続く
負担はなくなっても、年金の側は別です。
2.1 被保険者でなくても停止の対象になる
日本年金機構は、平成19年4月以降に70歳に達した方が70歳以降も厚生年金適用事業所に勤務されている場合は、厚生年金保険の被保険者ではありませんが、在職による支給停止が行われるとしています。
保険料を払っていないのに年金が止まることに違和感を持つ方もいますが、判定は在職しているかどうかで行われます。
2.2 基本月額と総報酬月額相当額で判定する
基本月額と総報酬月額相当額との合計が65万円以下の場合は全額支給されます。65万円を超える場合は、基本月額から、合計額が65万円を超えた分の2分の1が差し引かれます。この65万円は令和8年度の支給停止調整額です。
70歳以上の方の場合、総報酬月額相当額の計算に使う標準報酬月額と標準賞与額は、それぞれ標準報酬月額に相当する額、標準賞与額に相当する額となります。被保険者ではないため、相当額として扱われます。
3. 年金額は増えない
働いた分が反映されるかどうかも見ておきます。
3.1 70歳以上の期間は再計算に反映されない
日本年金機構は、70歳以上の期間は厚生年金に加入していないため、年金額の再計算には反映しないとしています。
65歳以上70歳未満の方には、9月1日を基準日として毎年10月分から年金額が見直される在職定時改定があります。70歳を過ぎると、この仕組みによる増加はなくなります。働いても年金額そのものは増えないということです。
4. 受給資格が足りないときの高齢任意加入
例外的に加入できる仕組みがあります。
4.1 老齢年金の受給資格を満たすために加入する
日本年金機構によると、厚生年金保険の適用事業所で働く70歳以上の方が、老齢年金の受給資格を満たすために厚生年金保険に任意で加入することができます。この届出は従業員本人が行うものです。
適用事業所以外の事業所で働く70歳以上の方も加入できますが、この場合は厚生年金保険の被保険者となることについて事業主の同意を得ていること、および厚生労働大臣が認可することが要件になります。
70歳以降は、保険料が止まる一方で年金額も増えません。働く目的が年金を増やすことなのか、当面の収入なのかで、考え方が変わってきます。
