厚生年金の額は現役時代の報酬で決まると聞きますが、その報酬がいくらだったのかを見る機会はあまりありません。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」によると、厚生年金保険(第1号)の老齢年金受給権者1608万5696人の平均標準報酬額は36万4134円でした。
筆者は銀行と信託銀行で15年以上、個人のお客さまの資産運用に携わってきました。この記事では、この数字の中身と分布の形を確認していきます。
- 老齢年金受給権者の平均標準報酬額は36万4134円
- 35万円以上36万円未満までで累積構成比が50.0%に達する
- 平均標準報酬額は現役時代の月収そのものではなく、再評価を経た額
1. 平均は36万4134円になる
まず、全体の数字を確認します。
1.1 25年未満の人とは分けて集計される
厚生労働省の年報によると、老齢年金受給権者1608万5696人の平均標準報酬額は36万4134円でした。
これとは別に、被保険者期間が25年未満の通算老齢年金・通老相当の受給権者1451万4498人が集計されています。こちらの平均標準報酬額は22万8760円です。加入期間が短い層は、報酬の水準も低めに出ています。
1.2 現役時代の月収とは違う
ここで注意しておきたいのが、平均標準報酬額という言葉の中身です。年報の注記によると、平成15年4月からの総報酬制導入に伴い、同年3月以前の被保険者期間に係る標準報酬月額の総額を1.3倍したものに、同年4月以後の被保険者期間に係る標準報酬月額と標準賞与額の総額を加え、それを全被保険者期間で除して得た額とされています。
賞与も含めた全期間の平均であり、平成15年3月以前の期間には1.3倍の調整が入っています。当時の月収そのものではないということです。
2. ちょうど半分が35万円台までに収まる
次に、分布の形を見ていきます。
2.1 35万円以上36万円未満で50.0%
平均標準報酬額の低い順に積み上げていくと、35万円以上36万円未満の区分までで累積構成比が50.0%に達します。受給権者のちょうど半分が、この水準までに収まる形です。
平均の36万4134円は、この中央の帯のすぐ上にあります。所得の統計では平均が中央値より大きく上振れすることが多いのですが、この分布では両者が近い位置にあります。
2.2 35万円から41万円がなだらかな山
1万円ごとの区分で見ると、35万円から41万円までの各区分はいずれも2.5%前後で並んでいます。突出した山はなく、この帯に広く分布しています。
40万円以上41万円未満は39万9157人で、ここまでの累積が62.6%です。一方で65万円以上は17万7945人、全体の1.1%にとどまります。
平均標準報酬額は、そのまま給与明細と見比べられる数字ではありません。定義を押さえてから自分の記録に当たるほうが、誤解が減ります。
