公的年金は、原則65歳から受け取り始めますが、60歳から75歳までの間で受給開始時期を選ぶこともできます。
早く受け取り始める「繰上げ受給」を選べば年金額は減り、遅らせる「繰下げ受給」を選べば年金額は増えるしくみです。ただし、実際に繰上げ・繰下げを選んでいる人はまだ少数派で、多くの人は65歳での本来受給を選んでいます。
この記事では、繰上げ・繰下げ受給を選択している人の割合や、選んだ場合の年金額の変化をシミュレーションで確認したうえで、特に繰下げ受給を検討する際に押さえておきたいポイントを整理します。
※この記事では、以下の記事のデータを一部引用しております。
- 厚生年金の繰下げ受給は1.9%、繰上げ受給は1.2%にとどまり、多くは65歳で受給開始
- 60歳への繰上げで年金額は24%減り、75歳への繰下げでは84%増える試算になる
- 繰下げは待機期間中の生活費の確保がカギ。税・社会保険料の増加で手取りが目減りする場合もある
1. 毎年度、見直される年金額。令和8年度は月額どれくらい?
公的年金の受給額は、物価や賃金の動向を踏まえて年度ごとに見直されます。2026年6月支給分(4月・5月分)からは、国民年金(基礎年金)が前年度から1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられました。
- 国民年金(老齢基礎年金・満額、1人分):7万608円(前年度比+1300円)
- 厚生年金(夫婦2人分のモデル年金):23万7279円(前年度比+4495円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(前年度比+1300円)
※厚生年金のモデル年金は、「男性の平均的な収入(平均標準報酬〈賞与含む月額換算〉45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金〈満額〉)の給付水準
この7万608円・23万7279円という金額は、いずれも65歳で本来受給した場合の水準です。繰上げ・繰下げによってこの金額がどう変わるのかは、後ほどシミュレーションで確認します。
2. 【厚生年金・国民年金】シニア世代の平均年金月額
ここからは、実際に年金を受け取っている全受給権者(60歳~90歳以降)の年金月額を、厚生労働省の統計から確認します。
2.1 厚生年金(国民年金を含む)の平均月額
- 全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
2.2 国民年金の平均月額
- 全体:5万9310円
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
厚生年金は男女差が6万円ほどあるのに対し、国民年金の男女差は数千円程度にとどまります。
これは、厚生年金の受給額が現役時代の収入や加入期間に大きく左右されるためです。
