毎日の通勤、買い物、送り迎え。移動にかかるお金は、家計のなかでどれくらいの位置を占めているのでしょうか。
家計調査では、移動に関する支出が「交通」と「自動車等関係費」という2つの費目に分かれています。この違いを知っておくと、自分の家計を見直すときの精度が上がります。
総務省統計局の家計調査から、二人以上の世帯の交通費の平均と移動コストを確認していきましょう。
- 交通費の平均は1世帯あたり月5703円(消費支出の約1.8%)
- 自動車等関係費は月2万8355円で交通費の約5.0倍
- 自動車費の内訳は購入9132円、ガソリン6040円が上位
1. 交通費の平均は1世帯あたり月5703円
まず結論です。総務省統計局が公表した「家計調査報告 家計収支編2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、二人以上の世帯の「交通」の支出は、1世帯当たり1か月平均5703円でした。
同じ調査で、二人以上の世帯の消費支出は1か月平均31万4001円。交通費が消費支出全体に占める割合は約1.8%です。
年間にすると約6万8400円。旅行時の新幹線代なども含まれるため、月による変動が大きい費目でもあります。
2. 交通費に含まれるもの・含まれないもの
家計調査でいう「交通」とは、移動そのものにかかる費用を指します。具体的には次のような項目です。
- 鉄道運賃、鉄道の通勤・通学定期代
- バス代、バスの通勤・通学定期代
- タクシー代
- 航空運賃
- 有料道路料
一方、ガソリン代や駐車場代といった自動車の維持費はここに入らず、後述の「自動車等関係費」に分類されます。
なお月5703円という金額は、勤務先が交通費を支給している世帯では家計から出ていかない分だけ低くなります。都市部で自己負担の通勤定期を購入している世帯なら、平均を上回ることも珍しくありません。
3. 自動車等関係費の平均は月2万8355円
一方、「自動車等関係費」の支出は1か月平均2万8355円でした。
交通費5703円に対して約5.0倍。消費支出全体に占める割合は約9.0%にのぼります。年間にすると約34万円です。
交通費と自動車等関係費を合わせると、移動にかかる支出は月3万4058円。ここに通信費1万1672円を加えた「交通・通信」全体では、月4万5730円になります。
4. 自動車等関係費の内訳。最も大きいのは購入費
自動車等関係費の中身を、年間支出額を12で割った月額換算で見てみましょう。
- 自動車購入:9132円
- ガソリン:6040円
- 自動車保険料(任意):3429円
- 自動車整備費:2819円
- 年極・月極駐車場借料:1090円
- レンタカー・カーシェアリング料金:366円
最も大きいのは自動車購入の9132円で、自動車等関係費の3割強を占めます。次いでガソリン6040円、任意保険3429円と続きます。
ここで注意したいのは、自動車税がこの費目に含まれていない点です。家計調査では税金は消費支出ではなく「非消費支出」として扱われるため、自動車等関係費2万8355円には自動車税は入っていません。実際の車の維持コストは、この金額に自動車税を加えて考える必要があります。
また、カーシェアやレンタカーの料金もこの費目に含まれています。金額は月366円で、まだ小さいながら「持たずに使う」選択が数字として現れはじめています。
5. 交通費と自動車費で5倍の差がある理由
2つの費目を比べると、自動車関連が圧倒的に大きいことがわかります。
その理由は、公共交通機関の利用が「使った分だけ」の変動費であるのに対し、自動車は保有しているだけで発生する固定費が多いためです。
車に乗らない月でも、保険料や駐車場代は発生します。車検は2年に1回まとまった金額が出ていきます。購入費用も、買い替えを前提にすれば継続的な負担です。
また、この平均値は車を持たない世帯も含めた数字である点にも注意が必要です。実際に自動車を保有している世帯だけで見れば、月2万8355円を大きく上回る負担になっていると考えられます。
6. 他の費目と比べた移動コストの大きさ
自動車等関係費2万8355円という金額を、他の費目と並べてみます(いずれも2025年平均、月額)。
- 食料:9万4895円
- その他の消費支出:4万7093円
- 教養娯楽:3万2125円
- 自動車等関係費:2万8355円
- 光熱・水道:2万4547円
- 住居:1万8678円
- 保健医療:1万5863円
- 家具・家事用品:1万3068円
- 教育:1万1939円
- 被服及び履物:1万63円
自動車等関係費は費目分類のうえでは「交通・通信」の内訳にあたりますが、金額で並べると住居の1万8678円や光熱・水道の2万4547円を上回ります。教養娯楽3万2125円に迫る規模であり、家計に占める重みは決して小さくありません。
7. 移動コストを見直す視点
移動費を見直すときは、「交通」と「自動車等関係費」を分けて考えるのが有効です。
公共交通機関の費用は、定期券の区間見直し、通勤経路の変更などで調整できます。使った分だけ減るため、効果が見えやすいのが特徴です。
自動車の費用は、固定費の部分に手を入れるほうが効果的です。
- 任意保険を年に一度見直す(月額3429円が対象)
- 駐車場を近隣の安いところに変える(同1090円)
- 車のサイズやグレードを次の買い替えで見直す(購入費は月額換算9132円)
- 車を使う頻度が低いなら、カーシェアやレンタカーとの比較検討
とくに、年に数回しか乗らない場合は、保有をやめてカーシェアに切り替えたほうが安く済むケースもあります。月2万8355円という平均を、自分の実際の使用頻度と照らし合わせてみる価値はあるでしょう。
一方で、公共交通機関が少ない地域では車が生活の必需品です。この場合は、削るのではなく「必要経費」として家計に組み込むほうが現実的です。
8. 車を「持つ」か「使う」かという選択
自動車等関係費が月2万8355円という数字は、保有に伴う固定費の重さを示しています。
近年は、この固定費を持たずに移動手段を確保する選択肢が増えました。カーシェアリング、レンタカー、そして地域によっては乗合タクシーです。
家計調査でもカーシェア・レンタカー料金は月366円と、まだ平均としては小さい水準にとどまっています。保有した場合の2万8355円と比べれば、使用頻度が低い世帯にとっては検討の余地がある差といえます。
もちろん、通勤で毎日使う、子どもの送迎が頻繁にある、公共交通機関が少ない地域に住んでいる、といった場合は保有のほうが合理的です。
大切なのは、なんとなく持ち続けるのではなく、使用頻度と費用を突き合わせて判断することです。次の車検や買い替えのタイミングは、その計算をしてみる良い機会かもしれません。
9. よくある質問
9.1 Q. 交通費の平均は1か月いくらですか?
A. 家計調査(2025年平均)では、二人以上の世帯の「交通」の支出は1世帯当たり1か月平均5703円でした。消費支出31万4001円の約1.8%にあたります。
9.2 Q. 交通費には何が含まれますか?
A. 鉄道やバスの運賃と通勤・通学定期代、タクシー代、航空運賃、有料道路料などです。ガソリン代や駐車場代は「自動車等関係費」に分類されます。
9.3 Q. 自動車の維持費は平均でいくらですか?
A. 「自動車等関係費」として1か月平均2万8355円です。ただし自動車税は家計調査では消費支出に含まれないため、この金額には入っていません。
10. まとめにかえて
今回は、総務省統計局の家計調査から交通費の平均と移動にかかる支出を確認しました。
- 交通費の平均は1世帯あたり月5703円(消費支出の約1.8%)
- 自動車等関係費は月2万8355円(同約9.0%)で交通費の約5.0倍
- 両方を合わせた移動コストは月3万4058円
- 自動車費の内訳は購入9132円、ガソリン6040円が上位
自分の家計の移動コストが、この平均と比べてどうか。まずは把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
LIMO編集部