年金というと、65歳から受け取る老後のお金という印象が強いかもしれません。ところが公的年金には、現役のうちに受け取ることになる給付もあります。
病気やけがで生活や仕事が制限されるようになったときの障害年金です。日本年金機構は、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金だとしています。
この記事では、受け取れるものが初診日で分かれること、厚生年金だけにある3級という等級、そして令和8年度の金額を、日本年金機構の資料で確認していきます。
- 受け取れるものが分かれるのは、いまの加入先ではなく「初診日にどの制度に入っていたか」
- 障害基礎年金は1級と2級だけ、障害厚生年金には3級と障害手当金がある
- 3級は報酬比例の年金額のみだが、令和8年度は63万5500円の最低保障額がある
1. 受け取れるものは「初診日」で決まる
まず、いちばん大事な分かれ目から確認します。
1.1 いま入っている制度ではない
日本年金機構は、国民年金に加入していた場合は障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金が請求できるとしています。ここでいう加入していたときとは、障害の原因となった病気やけがで初めて医師の診療を受けた日、つまり初診日のことです。
会社を辞めたあとに症状が重くなった場合でも、初診日に厚生年金の被保険者だったのなら障害厚生年金の対象になります。逆に、いま厚生年金に加入していても、初診日が退職後の国民年金の期間であれば障害基礎年金の話になります。
1.2 厚生年金には3級と一時金がある
もうひとつの違いが等級です。障害基礎年金は1級と2級しかありませんが、障害厚生年金にはこれに加えて3級があります。
さらに、初診日から5年以内に病気やけがが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときには、障害手当金という一時金が支給されます。
2. 受給の要件は3つある
初診日の制度が分かったら、次は要件です。障害厚生年金の場合、次の3つを満たす必要があります。
2.1 初診日に厚生年金の被保険者であること
厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やけがの初診日があることが1つ目です。
2.2 障害認定日に1級から3級のいずれかに該当すること
2つ目は、障害の状態が障害認定日に障害等級表に定める1級から3級のいずれかに該当していることです。
障害認定日とは、その障害の原因となった病気やけがについての初診日から1年6カ月を過ぎた日、または1年6カ月以内に病気やけがが治った場合はその日をいいます。人工透析や人工関節など、1年6カ月を待たずに認定日が来る取り扱いもあります。
2.3 保険料を納めていること
3つ目は保険料納付要件です。初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間などが3分の2以上あることが求められます。
この3分の2を満たさない場合でも、初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がなければ要件を満たします。
3. 令和8年度の金額はいくらか
金額は等級で組み合わせが変わります。
3.1 1級と2級は障害基礎年金も一緒に受け取れる
1級の障害厚生年金は報酬比例の年金額の1.25倍に配偶者の加給年金額24万3800円を加えた額、2級は報酬比例の年金額に同じ加給年金額を加えた額です。
これに障害基礎年金が加わります。昭和31年4月2日以後生まれの方で、1級が105万9125円、2級が84万7300円です。いずれも子の加算額が別に付きます。
3.2 3級は報酬比例の年金額だけになる
3級は報酬比例の年金額のみで、配偶者の加給年金額も障害基礎年金も付きません。ただし最低保障額があり、昭和31年4月2日以後生まれの方で63万5500円、昭和31年4月1日以前生まれの方で63万3700円です。
報酬比例の年金額は、加入期間が短いと小さくなります。若いうちに初診日を迎えた方ほど計算上は不利になりますが、この最低保障額があるため一定の水準は確保される仕組みです。
3級だけ障害基礎年金がなく、代わりに最低保障額が置かれています2/2
出所:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」・「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」をもとにLIMO編集部作成
初診日がいつだったかは、あとから調べようとすると難しいものです。通院を始めた時期の記録は、思っている以上に大切な資料になります。
