今月8月は年金支給日がありました。年金額は昨年から増額となったものの、生活費のやりくりは依然として切実な課題です。
私自身は、旅行などにはしっかりとお金を投資する一方で、日々の消耗品は徹底的に節約するというメリハリのあるお金の使い方を心がけ、将来に向けた準備をしています。
これまで保険代理店等で約3000世帯のライフプランニングをサポートし、現在もコンサルティングを行う立場からも、豊かなセカンドライフを送るためには、公的な支援制度を正しく理解し活用することが第一歩だとお伝えしています。
60歳・65歳以上の方が対象公的給付金をご存知ですか?この記事では、年金以外にもらえる加給年金や雇用保険関連の手当など5つの制度を解説します。ご自身が対象となる制度がないか、ぜひ確認しましょう。
- シニア向け給付金のほとんどは「申請主義」。手続きを怠ると年数十万円単位の手当を受け取れない場合もある
- 60〜64歳で失業手当を申請すると、特別支給の老齢厚生年金が全額停止される「併給調整」の罠に注意
- 高年齢雇用継続給付の給付率引き下げなど、2026年最新の制度改正動向も解説
監修者コメント
ファイナンシャルプランナーとして家計相談を数多くお受けしてきましたが実感としてあるのは「制度を知っている人だけが得をし、知らない弱者が損をする」という現実です。特にシニア層の給付金は、年金機構とハローワーク、自治体の管轄がバラバラであるため、縦割り行政の弊害を最も受けやすい領域です。「自分は対象にならないだろう」と勝手に自己判断せず、少しでも要件に該当する可能性があれば、必ず担当窓口に足を運んで確認する習慣をつけてみるとよいでしょう
1. 意外と多い?申請主義の公的なお金
老齢・障害・遺族年金といった公的な制度は、暮らしの大きな支えになります。ただ、受給資格があるからといって、自動的に振り込みが始まるわけではないので注意が必要です。
受け取りをスタートさせるには、必ず自分自身で「年金請求書」を出して、請求手続きを行わなければなりません。
国や自治体の給付金や補助金もこれと同じで、基本的には「申請」がセットになっています。
万が一、期限に間に合わなかったり書類が不足したりすると、受給額が減る、あるいは受け取れなくなるといった不利益が生じる可能性もあります。
せっかくの支援を賢く利用するためにも、まずは自分が対象となる制度を正しく理解し、確実に手続きを完了させるようにしましょう。
2. 【老齢年金】申請が必要な2つの上乗せ給付
老齢年金を受給している方が一定の要件を満たす場合に、本来の年金にプラスして受け取れる2つの制度について解説します。
2.1 年金版の家族手当「加給年金」とは
「加給年金」は、厚生年金に20年以上加入していた方が65歳になった際、生計を維持している「年下の配偶者」や「子ども」がいる場合に加算される制度です。
いわば、年金版の「家族手当」のような役割を持っています。
以下の条件を満たしており、「65歳未満の配偶者」または「18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子」がいる場合、年金に上乗せされます。
加給年金の支給要件について
- 厚生年金加入期間が20年(※)以上ある人:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)
- 65歳到達後(もしくは定額部分支給開始年齢に到達した後)に被保険者期間が20年(※)以上となった人:在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)
(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年
それぞれ、上記で示したタイミングで、「65歳未満の配偶者」または「18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子」がいる場合、年金に上乗せされます。
ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上あるもの)、退職共済年金(組合員期間が20年以上あるもの)を受給する権利がある場合、または障害厚生年金、障害基礎年金、障害共済年金などを受給している場合、配偶者加給年金額は支給停止されます。
2026年度における加給年金の金額
「加給年金」の年金額(2026年度の年額)は以下のとおりです。
- 配偶者:24万3800円
- 1人目・2人目の子:各24万3800円
- 3人目以降の子:各8万1300円
なお、老齢厚生年金を受給中の人の生年月日により、配偶者の加給年金額に3万6000円から17万9900円の特別加算額が支払われます。
配偶者の年金に加算される「振替加算」
配偶者が65歳になると加給年金は終了しますが、一定の要件を満たせば、今度は配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」という形で一定額が引き継がれます。
2.2 所得が一定基準以下の場合の「老齢年金生活者支援給付金」
「老齢年金生活者支援給付金」は、老齢基礎年金を受給している方のうち、所得や世帯収入が一定基準以下の場合に、生活の底上げを目的として支給されるものです。
年金本体とは別の法律に基づいて支給される「給付金」という位置づけになります。
老齢年金生活者支援給付金の対象となる条件
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下(※2)である
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
老齢年金生活者支援給付金の基準額はいくら?
2026年度、老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は月額5620円で、前年度より3.2%増額されました。
この基準額をもとにして、保険料納付状況等により給付金額が算出されます(下記①と②の合計額)。
給付額の具体的な計算方法
- ①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5620円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
- ②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1768円× 保険料免除期間 / 被保険者月数480月
※保険料免除期間に乗ずる金額は、毎年度の老齢基礎年金の額の改定に応じて変わります。
監修者コメント
年金受給で特に注意したいのが「加給年金と老齢厚生年金の繰り下げ受給の兼ね合い」です。「老齢厚生年金を75歳まで繰り下げて84%増やそう」と待機すると、その間は原則として本来受け取れるはずの加給年金(年約40万円)も支給停止となります。配偶者の年齢や待機期間によっては、受け取れない加給年金の総額が大きくなり、繰り下げによる年金増額分を圧迫する可能性があります。
なお、老齢基礎年金のみを繰り下げて、老齢厚生年金を65歳から受け取る選択をした場合は、厚生年金の受給に伴い加給年金を受け取ることが可能です(ただし厚生年金自体の増額はなし)。「額面の増額率」だけに惑わされず、世帯全体で受給できる総額を試算して判断することが重要です。

