厚生年金の平均月額を年齢層ごとに並べてみると、思っていたのとは違う形が出てきます。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均月額が最も低いのは70歳代前半の14万7730円で、最も高いのは85歳から89歳の16万5486円でした。年齢が上がるほど金額が大きくなっています。一方、国民年金はその逆で、年齢が上がるほど下がっていきます。
この記事では、厚生年金と国民年金それぞれの年齢層別の平均月額を確認し、65歳の手前で金額が大きく変わる理由、そしてこの数字をどう読むべきかを見ていきます。
なお、年代別の平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 厚生年金の平均月額は70歳代前半の14万7730円が最も低く、85歳から89歳の16万5486円が最も高い
- 60歳から64歳だけは8万2267円と大きく下がる。基礎年金がまだ加わっていない人が中心のため
- 国民年金は逆に、65歳から69歳の6万1240円をピークに年齢が上がるほど下がっていく
1. 厚生年金は年齢が上がるほど平均が高い
まずは厚生年金から見ていきます。ここで扱うのは令和6年度末時点の受給権者の平均月額で、老齢基礎年金の金額を含んだ数字です。
1.1 最も低いのは70歳代前半の14万7730円
厚生年金(第1号)の老齢年金を受け取っている方の平均月額を、年齢層別に並べると次のようになります。
- 60歳から64歳:8万2267円
- 65歳から69歳:15万1753円
- 70歳から74歳:14万7730円
- 75歳から79歳:15万1377円
- 80歳から84歳:15万7689円
- 85歳から89歳:16万5486円
- 90歳以上:16万4027円
全体の平均は15万289円です。65歳以上に限ってみると、いちばん低いのが70歳から74歳の14万7730円、いちばん高いのが85歳から89歳の16万5486円で、差は1万7756円あります。
1.2 70歳代前半を底にして上がっていく
65歳から69歳の15万1753円から70歳から74歳で14万7730円へいったん下がり、そこから年齢が上がるにつれて増えていく形です。85歳から89歳が最高で、90歳以上ではわずかに下がります。
「年金は年齢が上がると増えるのか」と読みたくなりますが、そうではありません。これは同じ時点でそれぞれの年齢層を横に並べた数字で、同じ人が年をとって金額が増えていくという意味ではない点にご注意ください。
70歳代前半を底にして、年齢が上がるほど平均は高くなります1/2
出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
2. 65歳の手前で金額が大きく変わる
年齢層別の表でひとつだけ水準が違うのが、60歳から64歳の8万2267円です。ここには理由があります。
2.1 各歳でみると65歳で段差ができる
60歳代を1歳ずつ見ていくと、変化がはっきりします。LIMOの記事「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」から要点を引用して確認しておきましょう。
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
64歳の8万3901円から65歳の14万9862円へ、6万5961円も跳ね上がっています。
2.2 基礎年金が加わるかどうかの差
この段差について、概況には注記があります。65歳未満で厚生年金を受け取っている方は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたことにより、主に定額部分のない報酬比例部分だけの方だという説明です。
つまり60歳から64歳の8万2267円は、2階部分だけの金額ということになります。65歳になって1階の老齢基礎年金が加わることで、15万円前後の水準になるという流れです。
参考までに、令和8年度のモデル的な金額も見ておきます。LIMOの記事「【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント」から引用します。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):7万608円(1人分)
- 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分)
出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
3. 国民年金は逆に年齢が上がるほど下がる
同じ表で国民年金を見ると、厚生年金とは反対の動きになっています。
3.1 65歳から69歳の6万1240円が最も高い
国民年金の老齢年金を受け取っている方の平均月額は次のとおりです。
- 60歳から64歳:4万7138円
- 65歳から69歳:6万1240円
- 70歳から74歳:6万339円
- 75歳から79歳:5万9346円
- 80歳から84歳:5万8454円
- 85歳から89歳:5万9066円
- 90歳以上:5万5633円
全体の平均は5万9310円です。65歳以上でみると、65歳から69歳の6万1240円が最も高く、90歳以上の5万5633円が最も低くなります。差は5607円です。
なお60歳から64歳の4万7138円について、概況には「65歳未満の国民年金の受給権者は、繰上げ支給を選択した者である」という注記があります。繰上げによって減額された金額であるため、他の年齢層と同じようには比べられません。
厚生年金と国民年金では、年齢による動きの向きが反対になります2/2
出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
3.2 1階と2階で決まり方が違う
国民年金は保険料が一律で、納めた月数だけで金額が決まります。上限は480月ですので、金額の幅そのものが狭くなります。年齢層による差が5607円にとどまるのはこのためです。
これに対して厚生年金は、現役期の報酬と加入期間で決まります。人によって差が出やすく、年齢層による違いも大きく表れます。1万7756円という開きは、その反映と読むことができます。
年齢層別の表は、同じ時点で世代を横に並べたものです。自分がこれから同じように増えていくという話ではありません。60歳代前半の金額が低いのも、制度の切り替わりによるものです。数字を見るときは、何と何を比べているのかを先に確かめてみてください。


