年金の男女差は、現役時代の働き方の違いがそのまま形になったものです。

出産や育児、家族の事情で就業形態を変えた期間は、厚生年金の加入期間が短くなります。その分が受給額に表れます。

本記事では背景を確認したうえで、月15万円を20年受け取った場合の総額を試算します。

なお、公的年金の仕組みや男女別の平均受給額については、下記の記事から一部を引用・参照しています。

【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
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ココがポイント
  • 出産や育児で就業形態を変えた期間は、厚生年金の加入期間が短くなります
  • その差が、いまのシニア世代の受給額の男女差として表れています
  • 年金月額15万円を20年受け取ると額面は3600万円、手取り換算では3132万円です

1. 年金制度改正の内容。働き方の変化に合わせた見直し

「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」は、2025年6月13日に成立しています。

働き方や家族構成、ライフスタイルの多様化に対応することが趣旨です。

まず改正の全体像を見ておきます。iDeCoなど私的年金についても見直しが行われました。

1.1 改正で見直された5つの分野

1.2 短時間で働く人も社会保険の対象へ

  • 中小企業において短時間で働く人などが、厚生年金や健康保険に加入し、年金増額などのメリットを受けられるようにする

1.3 働きながら受け取る年金の調整を見直し

  • 年金を受け取りながら働くシニアが、年金を減額されにくくなり、より多く働けるようにする

1.4 遺族年金の男女差の解消

  • 遺族厚生年金の男女差を解消。子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする

1.5 賃金の上限引き上げで年金額に反映

  • 月収が一定以上となる人が、賃金に応じた年金保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくする

1.6 子どもの加算や私的年金の見直し

  • 子どもの加算などの見直し、脱退一時金の見直し
  • 私的年金の見直し:iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)加入年齢の上限引き上げなど

改正内容を見れば、公的年金が老後の受給額だけの制度ではないことが分かります。働き方の選択と結びついています。

人生100年時代といわれるなか、仕組みを知っておくことは早いほど有利になります。

2. 年金の仕組み。加入期間が金額を左右する!

加入期間と金額の関係は、「【国民年金+厚生年金】厚生年金は月額いくら?男女別・年齢別の平均受給額と将来の年金額を増やす方法」から引用して確認します。

日本の公的年金は、よく「建物の階層」に例えられます。1階部分の国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられ、自営業者、フリーランス、学生、無職の人などが「第1号被保険者」として一律の保険料を納めます。会社員に扶養されている配偶者(年収130万円未満など)は「第3号被保険者」となり、個別の保険料負担はありません。2階部分の厚生年金は、厚生年金保険の適用事業所に勤務する会社員や公務員が加入し(第2号被保険者)、国民年金に上乗せされる形で加入するため、将来は「基礎年金+厚生年金(報酬比例部分)」の2階建てで年金を受け取ることができます。保険料は給与額に応じて変動し、会社と従業員が半分ずつ負担する「労使折半」が大きな特徴です。

出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント

3. 年金2026年度の改定内容を押さえる

改定の中身は、「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」から引用します。

2026年度の年金額は、国民年金が前年度比1.9%増、厚生年金(報酬比例部分)が同2.0%増の増額改定となりました。国民年金(満額・1人分)は月額7万608円、厚生年金(モデル夫婦世帯・2人分)は月額23万7279円です。ただし「ねんきん定期便」などに記載された金額は税金や社会保険料が引かれる前の「額面」であるため、実際の手取り額はこれより少なくなります。

出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?

4. 年金の平均受給額。男女差はどこに出るか?

厚生労働省が2025年12月に公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、男女別の水準を確認します。

4.1 国民年金は男女差が小さい

国民年金の平均額(全年齢)2/4

国民年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

4.2 厚生年金は男女差が大きい

厚生年金の平均額(全年齢)3/4

厚生年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント

※国民年金の金額を含む

国民年金の平均受給額は男女ともに月5〜6万円台で差は小さく、厚生年金は全体平均で15万円台ながら男女で開きがあります。

厚生年金は現役時代の賃金水準と加入期間で決まる仕組みなので、働き方の違いが直接反映されます。

とくにいまのシニア世代では、女性が出産や育児、家族の事情をきっかけに就業形態を変えたケースが多く、それが加入期間の差になっています。