住宅ローンを組むときに加入する団体信用生命保険は、契約者が亡くなるとローンが完済される仕組みです。ただし手続きは自動では進みません。

住宅金融支援機構の資料によると、必要書類を金融機関に提出してから債務が完済されるまでには通常1か月程度かかります。そしてその間も、返済はこれまでどおり続けることになっています。

この記事では、団信で保険金が支払われる条件と保障が終わる年齢、そして完済までの手続きと期間を順に確認していきます。

ココがポイント
  • 新機構団信の保障は死亡と、身体障害者手帳1級・2級の交付を受けたとき
  • 保障は満80歳の誕生日の属する月の末日まで。加入できるのは満70歳未満
  • 書類提出から完済まで通常1か月程度。その間の返済は継続する

1. 保険金が支払われるのは2つの場合

まずは、どういうときにローンが完済されるのかを確認していきます。ここでは住宅金融支援機構の新機構団信を例にします。

1.1 死亡と、身体障害者手帳1級・2級の交付

保険金が支払われるのは、死亡したときと、身体障害者福祉法に定める障害の級別が1級または2級の障害に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたときです。

ここで注意したいのが、一般の生命保険にある高度障害保険金の取扱いがない点です。機構は「新機構団信・新3大疾病付機構団信では、所定の高度障害状態になられた場合にお支払いする高度障害保険金の取扱いはありません」と明記しています。

重い障害が残れば支払われる、という一般の生命保険の感覚とは要件が異なります。

1.2 保障は満80歳の誕生日の属する月の末日まで

加入できるのは、申込書兼告知書の記入日現在で満15歳以上満70歳未満の方です。そして保障は満80歳の誕生日の属する月の末日までとなっています。

新3大疾病付機構団信の3大疾病と介護の保障については、満75歳の誕生日の属する月の末日までです。保障の種類によって終期が違います。

この年齢と、実際の利用者像を並べてみます。機構の2024年度フラット35利用者調査によると、利用者の平均年齢は44.5歳でした。返済期間を35年とすると、完済は79.5歳ごろになります。

新機構団信の保障の終期と、フラット35利用者の平均像1/2

新機構団信の保障の終期と、フラット35利用者の平均像

出所:住宅金融支援機構「新機構団体信用生命保険制度」「2024年度フラット35利用者調査」をもとにLIMO編集部作成

2. 完済までの流れと期間

次に、実際に手続きがどう進むのかを見ていきます。ここが今回いちばん押さえておきたいところです。

2.1 まず取扱金融機関に連絡する

手続きは4つの段階に分かれます。加入の有無と団信の種類を確認し、融資を申し込んだ取扱金融機関に連絡して必要書類を提出、生命保険会社が支払いの可否を審査し、支払われる場合は債務が全額完済されて届出者に通知が届く、という流れです。

加入しているかどうかが分からない場合は、金銭消費貸借契約証書などで確認できます。それでも分からなければ取扱金融機関に問い合わせることになります。

2.2 提出から完済まで通常1か月程度

機構は「必要書類を取扱金融機関にご提出いただいてから債務の完済(保険金のお支払い)まで、通常1か月程度要します」としています。

生命保険会社が家族や主治医に照会や確認を行う場合は、さらに日数がかかるとも書かれています。

注意したいのは、この1か月が書類を提出してからの期間だという点です。死亡診断書や戸籍を集める時間は含まれていません。

2.3 死亡日が保障開始から2年以内かどうかで書類が変わる

必要書類は団信弁済届のほか、死亡日が保障開始日から2年を経過している場合は死亡診断書または死体検案書の写しです。

これに対して死亡日が保障開始日から2年以内の場合は、生命保険会社所定の死亡証明書の原本が必要になります。こちらは医師に記入を依頼する書類です。

加入して間もない時期ほど、書類を揃えるのに時間がかかる作りになっています。

団信で債務が完済されるまでの流れ2/2

団信で債務が完済されるまでの流れ

出所:住宅金融支援機構の団信弁済に関する案内をもとにLIMO編集部作成

中本智恵

銀行の窓口では、ご家族が亡くなった直後に来店される方を何度も見てきました。そこで多いのが「団信に入っているから返済はもう止めていいですよね」というご質問です。

実際には完済が決まるまで返済は続きます。払い過ぎた分は後から戻る扱いなので、まずは止めずに続けていただくのが安全です。