「長生きしたい」だけでなく「元気なまま長生きしたい」。多くの人が抱くこの願いを数値化した指標が「健康寿命」です。

平均寿命と健康寿命には、実は数年単位の差があります。この差はいったい何年で、何を意味するのでしょうか。厚生労働省の資料から確認していきます。

この記事の3つのポイント
  • ①平均寿命と健康寿命の差は、男性8.48年・女性11.64年(2022年)
  • ②平均寿命は男性81.05年・女性87.09年、健康寿命は男性72.57年・女性75.45年
  • ③健康寿命は2010年から2022年にかけて、平均寿命の伸びを上回るペースで延びている

1. 平均寿命と健康寿命の差は何年?

結論から確認しましょう。「令和7年版厚生労働白書」によると、直近2022(令和4)年の平均寿命と健康寿命はそれぞれ次のとおりです。

  • 平均寿命:男性81.05年、女性87.09年
  • 健康寿命:男性72.57年、女性75.45年

この2つの数字を引き算すると、平均寿命と健康寿命の差が見えてきます。

  • 男性の差:81.05年-72.57年=8.48年
  • 女性の差:87.09年-75.45年=11.64年

男性で約8.5年、女性で約11.6年。これが、平均寿命と健康寿命の差にあたる期間です。

2. 平均寿命と健康寿命の違いとは

そもそも、平均寿命と健康寿命は何が違うのでしょうか。

平均寿命とは、0歳の人が平均してあと何年生きられるかを示す指標です。対して健康寿命は、「日常生活に制限のない期間の平均」として、国民生活基礎調査と生命表を用いて算出される指標です。

つまり、健康寿命を過ぎた後は、何らかの介護や医療的な支援を必要とする可能性が高まる期間ということになります。平均寿命と健康寿命の差は、この「支援が必要になりうる期間」の長さを表しているといえます。

厚生労働省は日本人の健康に向けての取り組みを長年行っています。がん、循環器病、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの生活習慣病は、日本人の死因の約5割を占めており、その一次予防へ注力しています。

3. なぜ女性のほうが差が大きいのか

平均寿命と健康寿命の差は、男女で開きがあります。女性のほうが差が大きい点も特徴的です。

平均寿命は女性のほうが男性より6年ほど長いものの、健康寿命の差は2.9年ほどにとどまります。長く生きるぶん、日常生活に制限を抱えて過ごす期間も長くなる傾向がうかがえます。

この期間には、医療費だけでなく介護費用も発生します。老後の資金計画を立てるうえで、男女それぞれの差の大きさを押さえておきたいところです。

4. 健康寿命は平均寿命より速いペースで延びている

明るい材料もあります。

厚生労働省によると、2022年の健康寿命は2010年と比べ、男性で2.15年、女性で1.83年延伸しています。これは同期間中の平均寿命の延び(男性1.50年、女性0.79年)を上回るペースです。

これが意味するのは、平均寿命と健康寿命の差が縮まっているということです。単に長生きするだけでなく、元気でいられる期間が延びている。健康施策の成果が数字に表れているといえます。

厚生労働省は2013年度から「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」を目標に掲げる国民健康づくり運動「健康日本21」を展開しており、生活習慣病の一次予防、つまり病気になる前の段階での対策が重視されているのも、この流れに沿ったものです。食事、運動、禁煙、適度な飲酒、そして定期的な健診。地道な取り組みが、社会全体の健康寿命を押し上げ、平均寿命との差を縮めてきました。

5. 差が広がるほど医療費・介護費の負担も増える

平均寿命と健康寿命の差が生じている期間は、医療や介護の支援を必要とする可能性が高い期間でもあります。この負担は、家計だけでなく社会保障制度全体にも及んでいます。

高齢化社会が進み医療給付費の増加も問題視されており、国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額は、2022(令和4)年度から2025(令和7)年度にかけて4年連続で引き上げられるなど、若年層への負担も増えています。

国民健康保険の保険料には、所得に応じて上がっていく仕組みのなかで「これ以上は取らない」という上限額が設定されています。この上限が引き上げられるということは、高所得層を中心に負担が増えることを意味します。

医療費の総額が増えれば、それを支える財源も増やさなければなりません。高齢者本人の窓口負担、現役世代の保険料、そして公費。このいずれかで賄うことになります。

4年連続の引き上げという事実は、この構造的な課題が続いていることを示しています。

なお、保険料の具体的な金額や上限額は、お住まいの自治体や加入している保険の種類によって異なります。詳細は自治体の窓口や加入先の保険者にご確認ください。

6. 平均寿命と健康寿命の差を縮めるためにできること

平均寿命と健康寿命の差を縮め、健康寿命を延ばすことは、本人の生活の質を高めるだけでなく、家計にとっても意味があります。

医療費や介護費の支出が始まる時期が遅れれば、その分だけ老後資金を長く保てます。また、健康であれば働き続ける選択肢も残ります。

  • 定期的な健診を受ける
  • 食事と運動の習慣を見直す
  • かかりつけ医を持っておく

こうした取り組みは、支出を減らす直接的な効果は見えにくいものの、長期的には平均寿命と健康寿命の差という数字に大きな違いを生みます。

自分の健康を保つことが、そのまま老後の家計を守ることにつながる。平均寿命と健康寿命の差という数字は、そのことを教えてくれています。

7. よくある質問

7.1 Q. 平均寿命と健康寿命の差は何年ですか?

A. 厚生労働省の直近2022(令和4)年のデータでは、男性が8.48年、女性が11.64年です。

7.2 Q. なぜ平均寿命と健康寿命に差があるのですか?

A. 平均寿命が「あと何年生きられるか」を示す指標であるのに対し、健康寿命は「日常生活に制限のない期間」を示す指標だからです。この定義の違いにより、加齢に伴う病気や介護が必要になる期間が差として表れます。

7.3 Q. 平均寿命と健康寿命の差は縮まっていますか?

A. 縮まっています。2010年から2022年にかけて、健康寿命の伸び(男性2.15年、女性1.83年)が平均寿命の伸び(男性1.50年、女性0.79年)を上回っており、差は縮小傾向にあります。

8. まとめにかえて

今回は、厚生労働省の資料から平均寿命と健康寿命の差を確認しました。

  • 平均寿命と健康寿命の差は、男性8.48年、女性11.64年(2022年)
  • 平均寿命は男性81.05年、女性87.09年
  • 健康寿命は男性72.57年、女性75.45年
  • 健康寿命は2010年から2022年にかけて、平均寿命の伸びを上回るペースで延びている

平均寿命と健康寿命の差は、そのまま「備えが必要な期間」でもあります。健康面と資金面、両方の準備を考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

参考資料

LIMO編集部