10月は、人によっては年金から差し引かれる税金や保険料の「天引き額」が切り替わる時期です。人によっては、この10月の支給分から手取りが増えることがあります。
受け取る年金は、基本的にねんきん定期便などに載っている「額面」と、実際に振り込まれる「手取り」が異なります。今回は、年金から何が天引きされるのかをおさえたうえで、10月から手取りが増えるのはどんな人なのかを整理します。
なお、公的年金の仕組みや2026年度の年金額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 年金からは税金・社会保険料が天引きされ、「額面」と「手取り」は異なる
- 住民税などの天引きは、4・6・8月が「仮徴収」、10・12・翌2月が「本徴収」。多くの自治体で10月から本徴収に切り替わる
- 前年の所得が下がった人は、10月から天引きが軽くなり手取りが増えることも。ただし増える人ばかりではない
1. 年金の「額面」と「手取り」はなぜ違う?かかる税金の基本
まずは、年金にかかる税金の基本からおさえておきましょう。
2026年度の年金額は、国民年金が前年度比1.9%増、厚生年金(報酬比例部分)が同2.0%増の増額改定となりました。国民年金(満額・1人分)は月額7万608円、厚生年金(モデル夫婦世帯・2人分)は月額23万7279円です。ただし「ねんきん定期便」などに記載された金額は税金や社会保険料が引かれる前の「額面」であるため、実際の手取り額はこれより少なくなります。
厚生労働省から公表される年金額は、税金や社会保険料が引かれる前の「額面」です。老齢年金は所得税法上「雑所得」として所得税・住民税の課税対象になり、さらに原則医療や介護の保険料も差し引かれます。
そのため、実際に使えるお金は通知された金額より少なくなるのが一般的です。一方で、同じ年金でも障害年金や遺族年金は非課税で、これらの税金はかかりません。
2. 年金から天引きされる税金・社会保険料の中身
日本年金機構によると、年金からは市区町村などの依頼にもとづき、次のような保険料・税金が原則「特別徴収」(天引き)されます。
- 介護保険料
- 国民健康保険料(税)または後期高齢者医療保険料
- 個人住民税および森林環境税
- 所得税および復興特別所得税
このうち介護保険料が年金から天引きされるのは、原則として65歳以上で、年間の年金受給額が18万円以上の方です。国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、住民税も、条件を満たすと同じように年金から差し引かれます。
3. 10月から「年金の手取り」が増える人とは?
ここからが今回のポイントです。年金から天引きされる住民税などは、1年を通して同じ額が引かれているわけではありません。
総務省によると、公的年金からの個人住民税の特別徴収は、4月・6月・8月分が「仮徴収」、10月・12月・翌2月分が「本徴収」に分かれています。仮徴収では前年度の年税額をもとにいったん暫定的な額を差し引き、本徴収でその年の年税額が確定したあと、仮徴収した分を差し引いた残りを割り振って徴収します。
多くの自治体では10月の支給分から本徴収が始まります。介護保険料や後期高齢者医療保険料なども、同じように前半が仮徴収、後半が本徴収というしくみです。だから、通帳を見て「10月から手取りが変わった」と気づく方が出てくるのです。
反対に、前年の所得が伸びていれば、10月から差し引かれる額はむしろ重くなります。つまり、10月から手取りが増えるのは「前年の所得が下がった人」で、すべての人の手取りが増えるわけではありません。自分がどちらなのかは、6月ごろに届く住民税の決定通知書や、年金の振込通知書で確かめられます。


