「消費税が増税されたら倹約をするという消費者が7割もいる。大不況が来る」という人がいたら、聞いてみましょう。「消費税が増税されても倹約しない人が3割もいるのですか?」と。消費が7割減るわけではなく、「わずかに倹約をする人が7割、全く倹約をしない人が3割」であれば、心配無用ですね(笑)。

「凶悪犯の犯罪前1週間の食生活を調査したところ、98%の犯人が共通して口にしている危険な食べ物が見つかった。直ちに禁止しよう」と言われたら、賛成しますか? コメですけれども(笑)。

この場合、「凶悪犯は食べているけれども、それ以外の人は食べていない食品」を探す必要があるのですが、それを怠ったから変な結論になったわけですね。

「海の水を一口飲んだら、海の水は減ります。間違いありません。」と言われたら、どうしましょう。間違いではないので反論するのは難しいのですが、そうした議論に付き合うのは馬鹿馬鹿しいですよね(笑)。しかし、実際にはそうした議論も世の中では多いので、要注意です。

母集団の属性に注意

さて、表題の件です。軍人の死亡率は、ほとんどの国で国民全体の死亡率よりも低いはずです。では、軍隊は安全なところなのでしょうか。それは違いますね。

種明かしをすると、軍人は定年があるので、老衰等で死ぬ人がいないのです。したがって、軍人の死亡率は一般国民より低いというわけです。そもそも病弱な人は採用されないかもしれませんし。

本気で軍隊が安全なところか否かを比べるのであれば、「20歳から60歳までの健康な男性」を一般国民と軍人の中から同じ人数ずつ選んで、どちらが死亡者数が少ないかを比べるべきでしょうね。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義