スーパーのレシートを見るたび、値上がりを実感する場面が増えていませんか。
帝国データバンクの調査によると、2026年9月の食品値上げは単月で4000品目を超え、今年最大規模の値上げラッシュとなっています。
そんな中、総務省の調査で「二人以上世帯の平均貯蓄額は2059万円」という数字を目にすると、「うちは全然届いていない」と焦りを感じるかもしれません。
しかし、同じ調査の中央値は1264万円で、約3分の2の世帯が平均を下回っているのが実態です。
今回は、総務省「家計調査(貯蓄・負債編)2025年平均結果」のデータをもとに、物価高が続くいまの家計事情と、貯蓄の「平均と中央値のギャップ」、そして進行する「二極化」の実態をひも解きます。
1. 【2026年9月】食品値上げ4000品目超。家計を圧迫する「物価高」の現在地
貯蓄の実態を見る前に、現在の私たちの家計を取り巻く環境を確認しておきましょう。
帝国データバンクが公表した調査によると、2026年8月の飲食料品値上げは2311品目(前年同月比で約8割増)に達し、続く9月には単月で4000品目を超える今年最大規模の値上げラッシュが直撃しています。
中東情勢の緊迫化に伴う原油・ナフサ価格の高騰や円安の影響から、調査開始以来5年連続で年間1万品目を超える広範囲な値上げが続いており、食料品や日用品の上昇が日々の家計を大きく圧迫しているのが現状です。
2. 「貯蓄の平均2059万円」は幻?中央値1264万円、約66%が届かない現実
こうした厳しい環境の中、貯蓄はどうなっているのでしょうか。
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によると、二人以上世帯の貯蓄額は以下のようになっています。
みんなの平均貯蓄額

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」をもとにLIMO編集部作成
【二人以上の全世帯】貯蓄額の「平均」と「中央値」
- 平均値:2059万円
- 貯蓄保有世帯の中央値:1264万円
平均値だけを見ると高く感じられますが、これは一部の高額貯蓄世帯が数値を大きく引き上げているためです。
実際には、調査対象の約3分の2(66.1%)が平均額を下回っており、中央値の1264万円こそが、より多くの世帯にとっての現実的な水準といえるでしょう。
2.1 「貯蓄の二極化」はどこまで進んでいる?約1割が100万円未満、一方で4000万円超えも15.2%
貯蓄額の分布を見ると、格差はさらに鮮明になります。
- 100万円未満:10.1%
- 4000万円以上:15.2%
上記のように、貯蓄が100万円に満たない世帯が約1割(10.1%)を占める一方で、4000万円以上の資産を持つ世帯も15.2%存在します。多くの世帯が平均値に届かないなか、一部の層に資産が集中している構図が浮かび上がります。
現役世代が中心となる「勤労者世帯」に絞って見ても、この傾向は変わりません。
みんなの平均貯蓄額

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」をもとにLIMO編集部作成
勤労者世帯の平均貯蓄額は1579万円、中央値は947万円と全体よりは低いものの、やはり大きな開きがあります。また、貯蓄4000万円以上の世帯は9.0%存在しており、現役世代の中でも資産形成の差が広がっていることがうかがえます。
3. 貯蓄4000万円以上世帯の「リアルな平均年収」はいくら?年収837万円の実態
では、4000万円以上の貯蓄を持つ世帯は、どれほどの年収なのでしょうか。
データを見ると、4000万円以上の貯蓄がある世帯の平均年収は、二人以上世帯全体で837万円、そのうちの勤労者世帯では1107万円となっています。
- 4000万円以上世帯の平均年収(二人以上世帯全体):837万円
- 4000万円以上世帯の平均年収(勤労者世帯):1107万円
ただし、貯蓄額と年収は単純に比例するわけではありません。たとえば、二人以上世帯全体のデータを見ると、「貯蓄1800~2000万円」の層の平均年収が762万円であるのに対し、より貯蓄が多い「貯蓄2000~2500万円」の層では平均年収が688万円と低くなっています。
勤労者世帯においても同様に、「貯蓄1800~2000万円」の層(平均年収998万円)よりも「貯蓄2000~2500万円」の層(平均年収863万円)の方が年収が低いという逆転現象が起きています。
このように、必ずしも年収が高ければ貯蓄が多いというわけではなく、平均的な年収層であっても、支出管理や貯め方次第では長期的に高い貯蓄水準に到達する可能性があることが読み取れます。貯蓄額の大小だけで判断するのではなく、収入と支出のバランスをどう積み重ねてきたかが、結果に大きく影響していると考えられます。
4. 監修者コメント
「平均貯蓄額」という数字は、ごく一部の高額資産を持つ世帯によって大きく引き上げられやすいという性質があります。
実際、今回のデータでも平均値2059万円に対して中央値は1264万円と、800万円近い差が生まれています。これは貯蓄に限った話ではなく、年収や退職金など、一部の高い数値が全体の平均を押し上げる統計にはよく見られる傾向です。
また、家計調査でいう「貯蓄」は預貯金や有価証券などの金融資産が中心で、持ち家などの不動産は含まれていません。同じ「貯蓄が多い」世帯でも、現金中心の場合もあれば株式や投資信託の比重が高い場合もあり、中身は世帯ごとに大きく異なります。
ニュースなどで平均額だけが紹介されている場合は、その裏にある分布や中央値、内訳もあわせて確認する習慣を持つと、実態とのズレに惑わされにくくなります。
