銀行のサービスはもはや汎用品。なぜそうなってしまったのか?

筆者は金融機関、特に銀行の将来像にとても興味があります。かれこれ35年ほど前に、某メガバンクに入社したからです。もともと金融に進むつもりもなく、銀行窓口の方々のにこやかな応対が当時の私には面映ゆく、むしろ敬遠していた業種でした。しかしながら、最も早く内定が出してもらえたのは、学生最後の年にも体育会優先だった私にとって願ったり叶ったりの就職先でした。

スキルあふれる行員がゴロゴロいた1980年代

入社後もいろいろ勉強になりました。税金出納で全くミスをしない白○さん。ゴム印を連打する技と正確性はIT以上です。両手で札勘できる萩○係長。両手で扇子のようにお札を広げる技は、マジシャンもびっくりです。しかもATMよりも計算は正確。

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加えて、粉飾手形を見抜くのが天才的なトラさん。勢い余って、手形割引を拒否してその手形を自分のロッカーにしまい込んでしまう鋼のメンタルの持ち主。さらに、営業をやらせれば20年選手も真っ青の19歳のトップセールスN君。全く競争する気にははなれなかった同僚です(泣)。

とまあ当時は、人間的スキルあふれる人材がごろごろしていた職場でした。が、そんな人材が不要になっているのが現在の銀行です。いや、銀行という業種より、金融サービスという広いくくりでの金融機関が様変わりしているのが令和の今です。

個人的なスキルに頼る人間的な組織から、フィンテックやデータ分析で大網をかけて、根こそぎ商売を取っていこうとする方向になっているのですね。実際、すでに一部の業務はフィンテックによって取って代わられています。たとえば、送金・決済業務のペイパルなどは私も愛用しています。

情報の非対称性がカネになる金融機関

金融機関のサービスを挙げていくと、だいたい次のような顧客サービスに集約されると思います。

(1) 預貯金
(2) 融資(ローン)
(3) 決済
(4) ブローカレッジ(売買委託、主として証券会社。不動産会社もこの範疇)
(5) 引受(証券会社自身の有価証券売買)
(6) 投資一任(投資信託など)、投資助言
(7) 信託

この中で、フィンテックでほとんどカバーできるのは、(1)(2)(3)でしょう。(4)も勝率の高い運用アドバイスがなければネット証券のサービスで十分です。(5)(6)(7)も投資判断や顧客サポートを除けば、事務的なところはフィンテックで置き換えることが可能です。

参考記事

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太田 創
  • 太田 創
  • 一般社団法人日本つみたて投資協会
  • 代表理事

関西学院大学卒。1985年、三菱銀行入行。1988年より約10年間、ロンドンおよびサンパウロで資金為替・デリバティブ等の運用、投資信託の管理業務に携わる。
その後、2000年からシティグループ(米)、UBS(スイス)、フィデリティ(米)、GCIにおいて投資信託のマーケティング・商品企画を統括。現在は一般社団法人日本つみたて投資協会・代表理事。
主要な著書には、『ETF投資入門 』(日経BP 2008年)、『お金持ち入門』(実業之日本社 2015年 共著)、『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』(かんき出版 2019年)などがある。