4. 通期業績予想を上方修正、それでも減益見通しが残る理由

コマツは7月29日、4月28日に公表していた2027年3月期(2026年4月1日〜2027年3月31日)の通期連結業績予想を上方修正しました。

4.1 売上高

  • 前回予想:4兆1,180億円 → 今回予想:4兆3,020億円(+4.5%)
  • 前期実績:4兆1,328億円

4.2 営業利益

  • 前回予想:5,080億円 → 今回予想:5,550億円(+9.3%)
  • 前期実績:5,673億円

4.3 最終利益(当期純利益)

  • 前回予想:3,180億円 → 今回予想:3,490億円(+9.7%)
  • 前期実績:3,763億円

上方修正の背景として、コマツは決算短信で、①中東情勢の影響による一部地域の需要減少が期初の想定より限定的とみられること、②米国の関税率の変更により関税の影響が想定より縮小したこと、③最新の市場見通しを反映したこと、を挙げています。

あわせて通期の平均為替レートの前提も、1米ドル=150.0円から152.1円へと円安方向に見直されました。

もっとも、修正後の予想を前期実績と比べると、売上高は4.1%増となる見通しである一方、営業利益は2.2%減、税引前純利益は5.4%減、純利益は7.3%減と、増収減益の見通しは変わっていません。

上方修正によって、4月28日時点で見込んでいた純利益の15.5%減という減益幅は7.3%減まで圧縮されましたが、依然として前期を下回る計画である点には留意が必要です。

配当予想については、2027年3月期は中間95円00銭、期末95円00銭の年間190円00銭としています。前期実績と同額で、直近に公表されている配当予想からの修正はありません。

5. 8月17日終値は7,211円、上方修正後のバリュエーション水準

8月17日の東京市場でコマツ株は、前営業日比91円安(1.25%安)の7,211円で取引を終えました。東京市場全体はこの日5日続伸となりAIや半導体関連株の物色が目立つなか、コマツ株はこれとは対照的にさえない値動きとなりました。

この終値をもとにした株価指標は、PER(会社予想)18.3倍、PBR(実績)1.82倍、配当利回り(会社予想)2.63%となっています。

通期の純利益予想が上方修正されたとはいえ前期比では減益の見通しが続いていることも踏まえ、今後の四半期ごとの進捗を見ながら株価の推移を注視していく必要がありそうです。

5.1 コマツの12カ月チャート

コマツ株の12カ月チャート1/1

コマツ株の12カ月チャート

出所:各資料より筆者作成

6. 建機大手ならではのユニークな株主優待、もらえるのは自社製品の"非売品"ミニチュア

コマツの株主優待は、QUOカードや自社製品の詰め合わせを贈呈する企業が多いなか、自社建設機械のオリジナルミニチュア模型(非売品)という独自の内容になっています。

対象となるのは基準日(毎年3月31日)時点で300株以上を保有し、かつ3月31日・9月30日を基準日として同一株主番号で7回以上連続して株主名簿に記録された、保有期間3年以上の株主です。

ミニチュアは2015年から毎年1機種ずつリリースされシリーズ化されており、直近では2025年9月に水中施工ロボット(コンセプトマシン)が発送されました。現時点で公式サイトに案内されている最新の感謝品は、通常のタイヤ式ダンプトラックでは走行が難しい未整地の現場や軟弱地盤でも作業できる全旋回式クローラーキャリア「CD110R-3」(愛称:くるくるダンプ、スケール1/87)のミニチュアです。

基準日は毎年3月31日で、300株以上の保有に加えて3年以上の継続保有が必要となるため、これから優待を目当てに新規で株式を取得しても、条件を満たすまでには時間がかかる点に注意が必要です。

7. 記者コメント

コマツの4-6月期決算は、円安や価格改善を追い風に増収増益となり、通期の業績予想も上方修正されました。もっとも、前期実績と比べればなお減益の計画であることに変わりはなく、上方修正の主因が為替や関税影響の縮小といった外部環境要因である点も踏まえると、今後の為替動向や中東・アジアなど地域ごとの需要動向次第で、通期見通しが再び変動する可能性もありそうです。

株主優待については、同社ならではのユニークな非売品ミニチュアで、これを目当てに株主になる熱烈なファンも存在します。ただし、300株以上・3年超の継続保有という条件は、他の優待銘柄と比べても長期の保有が前提になっている点を踏まえる必要があります。

【免責事項】

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。

参考資料

高原 祥子