ROEはなぜ13%まで上がったのか。5期でたどる利益質の変化
NECのROEは、2022年3月期の10.0%からいったん7%台へ低下し、その後8.4%、9.1%と戻したうえで、前期(2026年3月期)に13.0%へ切り上がった。電気機器の中央値である7.4%を大きく上回る水準だ。
前期は当期利益2,702億円で過去最高を更新し、営業利益も3,599億円と前の期から4割増えた。利益の中心を担ったのはITサービスで、営業利益は前の期比+33.7%、営業利益率は13.4%に達している。連結売上の7割を占める主力が、採算を伴って伸びた格好だ。社会インフラも営業利益が+22.9%と続いた。
総合電機は利益率が低く株価も伸びにくい、というイメージは根強い。だが実際のPBRは、1倍を下回る時期が長かったところから、直近では3倍を超える水準まで切り上がっている。一般的な見方と実データの間に、無視できないズレが生じている局面と言えるだろう。
中期経営計画の目標と資本効率の持続性
NECは中期経営計画で、2025年度(前期)の目標として調整後営業利益3,100億円、ROIC7.3%などを掲げてきた。前期の営業利益は3,599億円で、開示された目標の水準を上回って着地している。数字のうえでは、計画をやり切った期だったと受け止められる。
資本効率の面では、ROE13%という高さに加えて、その中身が問われる。高い採算のITサービスが利益の柱になっているぶん、投下資本に対するリターンも改善しやすい。もっとも、この高さがどこまで続くかは、会社が見込む来期の減収予想との兼ね合いで見極める必要がある。数字の派手さと事業の中身をセットで追う姿勢が、この銘柄では特に大切だと考えられる。
筆者コメント
同社の5期を並べて眺めると、利益の水準そのものが静かに切り上がってきたことに気づく。
かつては1倍を割る場面もあったPBRが3倍を超えるまで評価が変わったのは、単年の増益というより、ITサービスを軸にした利益質の変化を市場が織り込み始めたためだと考えられる。
ただし、前期の当期利益は過去最高で、伸び率の分母となる前年が低かった面もある。1Qの当期利益2.6倍という数字も、その反動を含んでいる可能性は残る。
加えて、会社自身が通期では減収を見込んでいる点は見落とせない。増益を伴う減収は、規模の追求から採算重視へと軸足を移す局面でしばしば現れる。売上の増加が止まっても利益率の改善が続くのか、という論点だ。
株価の水準訂正が一巡した後は、ROEやROICといった資本効率の指標が実際にどこまで高止まりするかに目を向けたい。決算の見出しの数字だけでなく、利益の出どころと持続性を確かめる姿勢をおすすめしたい。
参考資料
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石津 大希