総務省統計局の「家計調査」(※1)によると、2014年から18年まで5年連続で、1世帯当たりのパンの支出額が、米の支出額を上回っています。13年12月には、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。「日本人が米を食べなくなった」とはいえ、日本人にとって、米食に基づく和食は、文化や伝統とも深く結びついた大切なものです。

近年、「中食(なかしょく)」が増加傾向にあり、この「中食」による米食の拡大余地は十分にあると筆者は考えます。

糖質制限、面倒…「コメ」を食べなくなった日本人

総務省統計局の「家計調査」(※1)によると、2014年から18年まで5年連続で、1世帯当たりのパンの支出額が、米の支出額を上回っています。

米への1世帯当たりの年間の支出額は、1985年には7万5,302円であったものが、89年には6万3,679円、98年には4万5,475円、2008年には3万1,230円、18年には2万4,314円と、長期トレンドでは大きく減少の一途を辿っています。

一方で、パンは、1985年には2万3,499円であったものが、98年には2万5,549円、98年には2万8,372円、2008年には2万8,220円、18年には3万554円と増加傾向にあります。

1世帯当たりの年間支出額(穀類)(「家計調査」を基に著者作成)

また、農林水産省の「食糧需給表」(※2)からも、米の消費量が大きく減少して推移していることが分かり、残念ながら、「日本人が米を食べなくなった」のは事実であると言えるでしょう。

米以外を選択する理由については、農林水産省「主食用米消費動向の中期的変化及び要因分析」(※3)によると、「いろいろな種類の主食を食べたいから」が最も多かった意見であり、かつては日本の伝統的な食文化「和食一択」であったものから、選択肢が広がった結果であると考えられます。

日本人にとって大切な「和食」