実家に帰省すると、犬や猫と過ごす親の姿を目にする方も多いのではないでしょうか。ペットの平均寿命が延びる一方で、シニア期の医療費が年金家計に響くという声も増えてきました。

アニコム損害保険の『家庭どうぶつ白書2025』によると、犬の平均寿命は14.1歳、猫は14.5歳まで延びています。シニア期に入ると診療費は若齢期より跳ね上がる傾向にあり、備え方が問われる時期でもあります。

この記事では、年金家計とペット保険について、次の3点を整理してお伝えします。

1. 年金家計とペット保険 この記事の3つのポイント

  •  シニア期の犬猫は医療費が年金家計に響く時期
  •  ペットの医療は「人の医療」と違って全額自己負担
  •  ペット保険は「何歳まで加入できる」かは各社で違う

2. 犬猫の平均寿命はどこまで延びたか

まず、いまの犬猫がどれくらい長生きするのかを確認しておきましょう。平均寿命が延びるということは、そのままシニア期の長さが延びるということでもあります。

2.1 犬14.1歳・猫14.5歳の「今」

アニコム損害保険の『家庭どうぶつ白書2025』では、犬の平均寿命は14.1歳、猫は14.5歳と公表されています。品種別ではトイ・プードルや日本猫が15.3歳と、平均を超える長寿となっています。

10歳を過ぎたあたりが、いわゆる「シニア期」の入口とされることが多い時期です。

2.2 長生きするほど増える医療費

若齢期の医療費は、風邪気味の受診や予防接種など「スポットの支出」であることがほとんどです。ところがシニア期に入ると、腎臓・心臓・関節・腫瘍関連など、継続的な通院や検査が必要になる病気の割合が増えていきます。

結果として、月々の医療費が「毎月同じくらいかかる」構造に変わっていく段階が訪れます。

3. ペットの医療費は「人の医療」と違って全額自己負担

年金家計から見たとき、ペット医療で最も注意しておきたいのは、人の医療とはしくみが根本的に違うという点です。ここを整理しておくと、ペット保険の必要性の見え方が変わります。

3.1 人の医療は1〜3割負担で高額療養費もあります

75歳以上の方が入る後期高齢者医療制度では、窓口負担が原則1割で、所得によって2割・3割に分かれます。加えて、月ごとの自己負担が一定額を超えた場合は「高額療養費」で戻ってくるしくみもあります。

年金家計であっても、大きな入院や手術で天井知らずに医療費がかさむことにはならない設計になっています。

3.2 ペット医療は自由診療で全額自己負担

一方、犬猫の医療は公的な健康保険の対象外です。動物病院の診療費は原則として自由診療のため、料金は病院ごとに設定され、飼い主が全額を負担します。

手術1回で数十万円、入院や継続治療になれば年間で数十万円という水準も珍しくない、というのがシニア期の犬猫医療の現実です。

同じ「医療費」でもしくみが違います1/2

人の医療とペット医療の負担比較

出所:LIMO編集部作成

4. ペット保険は「何歳まで加入できる」か

ペット医療が全額自己負担であるからこそ、備えとしてのペット保険が話題になります。ただしペット保険は、加入できる年齢に会社ごとの差があるのが特徴です。

4.1 上限なしで新規加入できる保険

新規加入の年齢上限を設けず、8歳以降のシニア期に入ったペットでも受け付けているプランを用意している保険会社もあります。

「うちの子はもう10歳を超えていて、加入は難しいかも」と思っていた方でも、シニア期以降のペット向けに設計された保険を選択肢に入れられる場合があります。

4.2 満9〜11歳を上限にしている保険

一方で、新規加入年齢に上限を設けている保険会社も少なくありません。満9歳から満11歳程度を境に、新規契約を受け付けなくなる設計の商品が中心となっています。

迷ううちに加入できる年齢を過ぎてしまわないよう、検討のタイミングは早めに行うのが安心です。

4.3 継続更新の可否も要確認

新規加入は年齢制限があっても、いったん加入したあとの継続更新は終身まで可能とする商品が多いです。若いうちに入っておけば、シニア期以降も同じ保険で継続できる場合があるということです。

ペット保険の新規加入上限は会社によって違います2/2

ペット保険の新規加入上限年齢の傾向

出所:LIMO編集部作成

5. ペット保険を選ぶときに確認したい3つのポイント

加入年齢が合っていたとしても、補償の内容は会社・プランごとに大きく違います。契約前に必ず確認しておきたい3つの視点を押さえておきましょう。

5.1 補償率50%・70%と月額保険料の関係

ペット保険には補償率50%プランと補償率70%プランが用意されているところが多く、補償率が高いほど月額保険料も高くなります。年金家計の毎月の負担と、いざというときの自己負担のバランスで選ぶことになります。

5.2 通院・入院・手術の対象範囲

プランによっては通院を対象外にして手術と入院に絞る「手術特化型」もあります。慢性疾患で通院が続くケースが心配な方は通院も対象に含まれるプラン。大きな出費だけ備えたい方は手術特化型、といった選び分けが可能です。

5.3 待機期間と既往症の扱い

ペット保険では、加入直後の一定期間(多くは30日程度)に発症した病気は補償の対象外とする「待機期間」が設けられています。加入前から抱えていた既往症も、多くの商品で補償対象から外れます。

加入する時点で健康なうちに検討することが、実際の補償を受けられるかどうかを分けるポイントになります。

太田 彩子

以前パートで保険料比較サイトの運営に携わっていましたが、ペット保険は同じ品種・年齢でも、会社や商品ごとに保険料と補償内容が大きく異なります。1社の見積もりだけで判断せず、まずは複数社の補償内容を比較するところから始めてみてください。