アーリーリタイアとは、定年退職などを待たずして仕事を辞めて、現在ある貯金などの資産を切り崩しながら生活していくことを指します。人生100年時代となり「70歳まで働きたい」という人がいる一方で、自分の趣味や家族との時間を大切にしたいという人が、40代や50代でアーリーリタイアをしているようです。

また、似たような言葉に「セミリタイア」というものがあります。セミリタイアとは、貯金をはじめとした資産を切り崩すこともあるかもしれませんが、パートやアルバイトなどの職を持って最低限の収入を得ながら、自分の生活を楽しむスタイルを指します。

アーリーリタイアするメリット

早期退職制度を利用できる

メリットとして、会社の「早期退職制度」を利用できる可能性があります。早期退職制度とは、希望退職制度のひとつの方法で、通常の定年退職より退職金などを優遇する代わりに、定年前に退職を促す会社の人事制度です。

やりたいことを実現する体力がある

定年を待つよりも若いうちに引退すれば、体力のあるうちに自分がやってみたかったことへ時間を使うことができます。世界一周旅行に出かけたり、あるいは思い切って地方に移住してみたり。早めに自由な時間を手に入れることができれば、体力のある若いうちに様々なことにチャレンジできます。

アーリーリタイアするデメリット

50代のアーリーリタイアは再就職が難しい

きちんと貯金をしたうえでアーリーリタイアしたとしても、「自分が思い描いていた生活と違う」、「予想外の出費で貯金が足りない」という事態に陥ることもあります。アーリーリタイアの生活から抜け出し再就職しようと思っても、50代だとほかの年代と比較して再就職が難しい傾向にあります。

アーリーリタイアするには貯金がいくらあればいい?

では実際にアーリーリタイアするにはどのくらいの貯金がなければならないのでしょうか。アーリーリタイアするには、その後に必要な資金の準備ができていなければなりません。どのくらい貯金が必要なのか解説します。

独身のアーリーリタイア

総務省統計局が公表している「家計調査報告(家計収支編)―平成30年(2018年)平均速報結果の概要」によると、35~59歳の単身世帯の平均消費支出額は月当たりで18万2,207円、60歳以上は15万2,792円でした。

50歳でリタイアして年金支給開始が65歳だと15年分の貯金が必要です。上記の平均値から計算すると、最低でも約3,100万円になります。これはあくまで平均額での計算で、生活費以外に突発的な出費もあることを考えると、これ以上の額の貯金がなければ現実的に難しいかもしれません。

家族がいる場合のアーリーリタイア

同様に2人以上の世帯の平均消費支出額は、世帯主の年齢が50~54歳の場合、月35万1,368円、55~59歳が33万3,957円、60~64歳が30万4,601円でした。

こちらも50歳でリタイアしたと仮定して15年分の生活費を計算すると、約5,940万円が必要です。老後は年金以外に2,000万円必要だという話もありますので、現実的には1億円近い資産や貯金がなければ安心できないかもしれません。

老後貯蓄を取り崩すのは何歳から?

早期退職をするかどうかにかかわらず、実際に老後貯蓄へ手をつけるのは何歳になってからなのでしょうか。公益財団法人・生命保険文化センターが公表した資料によると、「公的年金や退職金以外に準備した資金」を生活費として使用し始める平均年齢は65.1歳という結果でした。

ひとまず65歳を基準にしておき、ご自身があと何年で65歳を迎えるのかを計算しておきましょう。こうすることで、どれぐらいの期間内に老後資金を用意すべきなのかイメージできるでしょう。

まとめ

アーリーリタイアかどうかにかかわらず、老後に貯蓄が足りなくなってしまうと、生活していけない状況に陥る可能性があります。そんな状況を防ぐためにも、今後のライフプランを立て、どのくらいの出費が予想されるのかを把握しておきましょう。ライフプランで将来のイメージが固まれば、貯蓄のペースを作りやすくなるはずです。

【参考】
『家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成30年(2018年)平均結果-(二人以上の世帯)』総務省統計局
『家計調査報告(家計収支編)―平成30年(2018年)平均速報結果の概要』総務省統計局
「老後」とはいつから?』公益財団法人・生命保険文化センター

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

LIMO編集部