6. 40歳代が最多支出。家計調査から見る「29歳以下~70歳代以上」家族の食費平均・エンゲル係数

日々のやりくりにおいて、他の世帯が毎月どのくらいの食費をかけているのかは関心の高い事項です。

総務省「家計調査 家計収支編 2025年(二人以上の世帯)」をもとに、世帯主の年代ごとに1カ月の食費がどのように推移するのかを見てみましょう。

データを追うと、人生のなかで最も食費が高くなるのは世帯主が「40歳〜44歳」の世帯です。

6.1 年齢階級別(10歳階級)の1カ月平均「食料支出」と「エンゲル係数」

  • 29歳以下:食費 6万1673円(エンゲル係数:23.3%)
  • 30歳代(30〜39歳):食費 8万4082円(エンゲル係数:27.7%)
  • 40歳代(40〜49歳):食費 9万9922円(エンゲル係数:28.7%) ★全体のピーク
  • 50歳代(50〜59歳):食費 9万5209円(エンゲル係数:25.9%)
  • 60歳代(60〜69歳):食費 9万2209円(エンゲル係数:28.2%)
  • 70歳代以上(70歳以上):食費 8万3000円(エンゲル係数:31.4%)

20歳代以下の世帯(29歳以下)から30歳代、40歳代にかけて食費は上昇し、40歳代で平均9万9922円と10万円に迫る水準になります。

この40歳代の世帯は、平均世帯人員が3.73人と多く、18歳未満の子供の数も平均1.52人と多くを記録しています。

食べ盛りの子供や育ち盛りの家族を抱える時期に食費が膨らむのは、統計的にも必然の推移と言えます。

他の支出とのバランスが取れているのであれば、食費の金額自体を過剰に問題視する必要はないでしょう。家族の成長を支えている確かな証として受け止めることができます。

7. 筆者からのコメント

熊谷 良子

家計調査の「食費」の具体的な中身をさらに詳しく紐解いてみました。

実は世代によって、お金をかける食材が明確に異なっているのです。

例えば、40歳代世帯は「肉類」への支出が平均で1万円を超え、40歳代全体で1万419円と全世代のピークを迎えます。外食も40歳代全体で2万2417円と突出しています。

一方で、70歳代以上の世帯になると、肉類は7122円に落ち着く代わりに、魚介類への支出が上昇し、7668円と30歳代(3578円)の2倍以上の金額をかけています。

そして最も興味深いのが、お惣菜や冷凍食品、レトルトなどの「調理食品」です。

これは29歳以下の7103円を除くと、30歳代から70歳代以上にいたるまで、どの世代も毎月1万1000円台から1万4000円台(30歳代は1万1593円、40歳代は1万3452円、50歳代は1万3809円、60歳代は1万4199円がピーク、70歳代以上は1万2916円)を安定して支出しています。

忙しい共働きが多い30歳代・40歳代からシニア世代にいたるまで、世代を超えて「調理手間の軽減」が共通の生活ニーズになっている姿が見えてきます。

どのような生き方・働き方であっても、こうした家庭の工夫や消費の形が家計簿に刻まれています。

ご自身の年代に合った支出の傾向を知っておくことで、無理のないライフプランをより描きやすくなるかもしれません。

8. 消費税1%引き下げ方針。来春からの減税効果でどうなる?

もう一つの大きな動きとして、政府が8月5日に飲食料品の消費税率を来年(2027年)4月から2年間「1%に引き下げる」という基本方針を閣議決定したことが挙げられます。

消費税が導入されて以来、初めての税率引き下げとなります。これが実現した場合、日々の買い物にどのような影響を及ぼすでしょうか。

帝国データバンクは今回の調査結果とともに、この消費減税が実施された場合の家計への恩恵について、身近なカレーライス物価をベースにした具体的な試算を公表しています。

現在の価格水準が来年4月まで維持されたと仮定し、同社が6月時点のデータを基にコメや各種具材の平均値から減税効果を算出したところ、1食あたり328円前後まで低下する試算となり、2024年秋ごろの水準まで負担感が軽減される見通しとなりました。

帝国データバンクの試算は下記の通り。

  • 現状(6月時点):カレーを6食分まとめて作ると材料費の合計は2000円を超えます。
  • 減税後(税率1%適用時):同様の材料を購入しても、同社の計算上は2000円でお釣りが出るようになります。

特にまとめて調理する場面を想定すると、その変化を実感しやすくなりますね。ただし、注意すべき点もあります。

帝国データバンクの分析でも指摘されている通り、店頭における「税込価格」が実際の税率低下分である7%きっちり引き下がるかは不透明です。

表示価格の影で、減税に合わせた本体価格(税抜価格)の引き上げや、内容量を減らす実質的な値上げが行われる懸念も、同社の調査では示されています。

減税が実施される局面においては、単に税込価格の表記だけに一喜一憂するのではなく、商品の本体価格や容量の変化にも冷静に目を配ることが大切です。

9. まとめ

2026年8月に公表された各種調査結果をもとに、食費や家計について考えてきました。

帝国データバンク独自調査による試算結果である「カレーライス物価」が大きく下がったことや、来春からの消費税減税方針など、家計にとって好ましいニュースが報じられています。

しかし最新の家計調査が示す通り、エアコン需要による光熱費の負担増や、教育費、自動車関連費など削りにくい支出の存在が、多くの家庭で食費抑制という選択を迫っているというところが実情と言えるでしょう。

特に家族構成が変化し、食費がピークを迎える働き盛りの世帯にとって、日々のやりくりは生活に直結する大きな課題です。

制度変更や物価指数の動向といった情報を正しく取り入れ、店頭の価格変動を見極める視点を持つことが、これからの変化の時代に、上手に家計をコントロールしていくための鍵となるでしょう。

10. 筆者からのコメント

熊谷 良子
物価高や光熱費の上昇が続く中、多くの家庭が日々の食費を工夫しながら家計を維持している実態がデータからも明らかになりました。

来春に予定されている消費減税は家計にとって前向きな材料ですが、同時に内容量や本体価格の変化など、実質的な価格変動には冷静な視点が必要です。

また、世帯の年代や家族構成によって優先すべき支出のバランスは異なります。

世間一般の平均値やエンゲル係数といった数値にとらわれることなく、それぞれのライフスタイルに合わせた無理のない家計管理を模索していくことが、これからの時代において大切になるでしょう。

参考資料